2019-07-28

"シェーンベルク" Hans Heinz Stuckenschmidt 著

音楽のド素人でも、つい読みいってしまう音楽論というものがある。それは、歴史を投影しているからであろう。いや、音響論からの視点も見過ごすわけにはいかない。つまりは、数学的な側面からの見方である。
十九世紀から二十世紀初頭、近代社会は自由精神を目覚めさせ、王侯貴族のものであった芸術はブルジョア階級を経て解放へと向かった。これに共鳴するかのように、伝統派のブラームス党と急進派のヴァーグナー党が激しく対立。その新たな風潮を呼び込んだのが、シェーンベルクだったという。彼の編み出した十二音技法とは、自由や平等を旺盛にしていく時代に、十二音すべてを平等に扱おうとした結果であろうか。一つのオクターブに十二音を均等配置し、その組み合わせは、12! = 479,001,600 通り。これらの音列から発せられるリズムとやらの音響現象に無限の可能性を探る。これが音楽家の仕事というわけか。
シェーンベルクの音楽は分かりにくい!とは、よく耳にする。だがそれは、無調音楽に関してのものだろう。ピカソだって「泣く女」のような絵ばかり書いたわけではないし、シェーンベルクだって、弦楽四重奏曲や管弦楽曲にロマン派の余韻を漂わせている。
とはいえ、詩句もなく、韻律もなく、詩節もなく、ただ心の中で奏でる音を気の向くままに書くとは、いかなる境地であろう。音楽の散文とでも言おうか。音素材の弁証法とやらに固執している感もある。協和音と不協和音の境界を曖昧にし、雑音をも区別せず、調性から脱した域に入って、すべての音楽形式の束縛から逃れようと...

しかしながら、法則ってやつは、正しく理解されなければ、正しく反抗することができない。この天才とて、やはりバッハは特別な存在だったと見える。バッハの平均律からヴァーグナーの半音階手法を経て、対比すべくものを目覚めさせていく。
こうして眺めていると、相対的な認識能力の持ち主は幸せかもしれない。ある一つの何かを認識できれば、その対称的な存在をも認識できるようになる。ただそれも、才能豊かな者の特権ではあろうけど。
そして、あまりに急進的な試みは、却って古典回帰の魂を呼び覚ます。妥協なき探究心は、順行だけでは飽き足らず、やがて逆行へ転じ、さらに逆行の逆行へと導かれる。惑う星がごとく...
さて、今宵の BGM は、保守派の憤慨を買ったとされるリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」でいこう。いや、ショパンの影を感じるドビュッシーも捨てがたい...

「シェーンベルクは、作曲技法の天才的学者であり、自分がドイツ = オーストリア音楽の伝統の最大の道と信じたところを、まっしぐらにつきすすんだ人間である。調性の廃棄と不協和音の解放の結果として考えられる、すべての音響の価値の均等化が、彼の仕事である。彼が、道に到達したのは、思弁によるのでなくて、内面の声に強要されたからであるということこそ、論議の余地のないほど明瞭に、彼の生成の道程を証明するものである。この様式が新しい音楽の表現の可能性としてはっきりさせたこと、即ち、4度和声、調性的にあいまいにされた導音の技法、非合理的な、小節縦線を否認するようなリズムの扱い、やたらと多い加線と非旋律的な歩みをもった旋律の扱い、線的ポリフォニーと、ソナタの図式からうけついだ展開的構成の原子化、こういったものはすべて、今日では、すでに歴史的なものになり、ほとんどあらゆる重要な作曲家の語法の資源になってしまっている。」

ところで、音楽には、ピュタゴラスの時代から数学的に論じられてきた歴史がある。そして、平均律の導入によってオクターブを平均的に十二分割すると、音響組織の合理化が促され、自由な転調、半音の等価性といったものが原理的に示された。さらに、機械的な作曲法まで提示されると、コンピュータでも作曲できそうに思える。今では、AI がそれをやっているし...
ある形式を徹底的に追求すれば、それに反する形式が見えてくる。何か一つに気づけば、倍、倍、倍... と覚醒させていく可能性がある。この認識過程は、数学に看取られているのだろうか。べき乗数に支配されて...
まさに、十二音技法の応用は無限の可能性を示唆している。それは、精神的合理性と数学的合理性は合致するか、と問い掛けているようにも見える。神は退屈しているに違いない。絶対的な認識能力を会得してしまったがために、もう覚醒させるものがないのだから。そして羨ましがっているだろう。人類は対位法なるものの完成を永遠に見ることはできまい。この幸せ者め!と...

2019-07-21

"マルチモニタに睨まれて... 八面楚歌!?

モニタってやつは、向こうから一方的に光を放ち、こちらは受け身でそれを見る。だから、出力装置なのである。しかしながら、八面にも囲まれると、向こうからも見られている感じがして、なんとも奇妙な気分になる。テレビ会議中にポーズをとってたりして...
誰かがリモートで仕掛けているのか?贅沢にも二面でリソース監視をやれば、お返しに八つの目線で人間監視をくらう。仮想ワークスペースを加えれば、どれだけの影の眼に見張られていることやら。仮想空間ってやつは恐ろしい。入力と出力の役割を曖昧にさせやがる。そもそも人間精神の実在が曖昧なのだから、まったく違和感なし。
今、自己監視の主導権を取り戻さねば...




左六面がメインマシン(Win 10 Pro)、右縦二面がサブマシン(CentOS 7) ...(上写真)
尚、Pro にしたのは、Active Directory 環境が欲しかったため...
おまけに、箱の中ではイルミネーションの共演ときた。
ケースは、be quiet! DARK BASE 700 BGW23 ...(下写真)




こいつに負けじと、Animation GIF を拾ってきては GIMP2 で分解・加工し、Rainmeter にコマ送りで埋め込む。こんな作業を何度繰り返したことやら。写真では分かりにくいが、実はあちこちでアニメーションしまくり。
あらゆる球体が回転してるわ、猫の亡霊もどきがうごめいているわ、妖怪もどきが散歩してるわ、黒目がウインクで誘ってるわ... おまけに、物体の動力源に 6 気筒やら 4 ストロークやらがピストン運動に励み、Core i9 BOX の中では、14nm のダイが点滅し、パネルの中の道は永遠に続く...
数学諸君だって黙っちゃいない。方程式の踊りを横目にピュタゴラスが三角関係で悩ましく周り、フラクタルがふらふらしている側を流体力学が流しをやり、DNA が螺旋ダンスで行列式と戯れ、黄金比が巨大な目ん玉の瞳孔へと無限小に吸い込まれ、おっ!πもポロリ... 節操のないデスクトップになっちまった。まったく、be Quiet!
画面はあるだけ消費し、贅沢はあるだけ浪費する、ってか。今、デスクトップの素材探しより、人生の素材探しである...




それにしても、デスクトップに数式をでかでかとアニメーションさせるのは、おいらにとっては新たな感覚。ちょっぴり癒やされたりして。「万物は数である」との信仰も悪くない。学生であれば、英単語あたりをスライドショーさせたりするのであろうか...

1. Nagios ってどうよ...
システムの入れ替えついでに、監視ツールを見直すことに。愛用してきた Zabbix をお払い箱にするつもりはない。ただ、他のヤツも試してみたい。そこで、Nagios というわけである。
さすがにメジャーなだけあって情報が豊富で、インストールで苦労することもなかった。監視機能はプラグインで実装する形で、雛形も多く用意されている。ping, disk, users, procs, load, swap, ssh, http, snmp など。こいつらを軽くカスタマイズすればいい。ほとんどそのまま使えるけど。
ちなみに、Zabbix は、テンプレートをいじり倒す仕組み。
また、クライアント側には、NRPE(Nagios Remote Plugin Executor)という監視用プラグインがあって、こいつをインストールしておけば、NRPE 用ポートを開けておくだけで監視対象にすることができる。
ちなみに、Zabbix は、サーバエージェントとクライアントエージェント、これにデータベースサーバを加えた構成で、この部分だけを見れば、Nagios の方が扱いやすい。
ただ、グラフ機能となると、Nagios の本体に見当たらない。今回は、PNP4Nagios を導入してまあまあ。Nagiosgraph というのもなかなからしいので、いずれ試してみたい。
ちなみに、Zabbix のグラフ機能は、スクリーン機能で x 行 y 列に配置でき、マップ機能でネットワーク構成がお絵書きでき、しかも、こいつらをスライドショーできる。実は、この機能が病みつきで、Zabbix はやめられまへん...

2. 改めて、Zabbix に病みつき...
今回、システムの入れ替えで、Zabbix もインストールをやり直したが、いつのまにか標準テンプレートが増えているような。気のせいか?前にインストールした時は、snmpwalk コマンドで MIB を歩き回ったものだが。[テンプレート作成]で、"Template SNMP Device" を選択するだけで、とりあえずうまくいく。
Zabbix も Nagios も snmpwalk コマンドを一度も叩かずに設定が終わって、狐につままれたような。ちと不安だから、確認のために叩いたけど...
そして、Zabbix のリカバリ機能に病みつき。LLD(Low Level Discovery)ってやつが実装されていて、対象機器を動的に設定できる。テンプレートは機器の内部構成やバージョンの違いなどによって微妙な調整が必要だったりするが、こいつのおかげで作業を抽象化してくれる。実は、このテンプレート管理が結構面倒だったりする。
ただし、LLD 更新間隔は、default で 3600 秒になっていて、対象機器がなかなか反映されず、かなり悩んでしまった。酒のつまみを用意している間に、いつのまに監視用アイテムが増えて、ビックリ!

3. chrome のタブ自動切替に病みつき...
監視モニタ用にブラウザの存在は欠かせない。そして、chrome ウェブストアで、"Revolver Tabs" という拡張機能を発見!
タブを周期的に切り替えてくれる。Zabbix だけならスライドショー機能で事足りるが、複数のツールを眺めるなら、こいつはええ...

2019-07-14

パワフルなヤツを黙らせよ!

管理者権限の必要な複数のアプリケーションをバッチで起動したい!... そんなことがよくある。今までは、DOS スクリプトでバッチファイルを作成し、これを管理者権限を与えたショートカットで実行していた。
尚、ショートカットには、[詳細設定]に "管理者として実行" というオプションがある。

そして今、マシンを入れ替え、マルチモニタの増築ついでに、バッチファイルをランチャーに埋め込みたい!... とふと思ってしまう。すると、バッチファイルにどうやって管理者権限を与えるか?という問題に出くわす。Linux なら、この手の問題で悩むことがあまりないのだけど...
おっと!PowerShell がありがたいオプションを持っていた。Start-Process スレッドで、"-verb runas" を指定すればいい。
しかし、これだけでは、PowerShell のウィンドウが開いて鬱陶しい。
さらに、ありがたいオプションがあった。"-WindowStyle Hidden" を指定すればいい。
例えば、こんな感じでバッチファイルを仕込んでおく...

  powershell start-process hogehoge.bat -WindowStyle Hidden -verb runas

しか~し...
これでもほんの一瞬だけ PowerShell のウィンドウが開きやがる。なんとも中途半端な仕様である。この現象が気になるかどうかは人それぞれであろうが、おいらは気になって眠れそうにない。
ん~... どうやら外部の言語系で黙らせるしかなさそうだ。そして、何を使うか悩んでいると、Win 10 には、VBScript が標準装備されていた。中身がこんな感じの hogehoge.vbs ファイルを作成し、こいつをランチャーに埋め込んで実行することに...

  CreateObject("WScript.Shell").Run "powershell start-process -WindowStyle Hidden hogehoge.bat  -verb runas", 0

末尾の ",0" がおまじない。例えば、おいらが愛用している Rainmeter であれば、こんな感じで埋め込む。

  ...
  [HOGEHOGE_EXECUTE]
  Meter=xxx
  LeftMouseUpAction =!execute ["hogehoge.vbs"]
  ...

ん~... 2段階で実行するのも...
PowerShell は、パワフルなヤツでいろんなことができそうだけど、なんとも中途半端な存在に映ってしまう今日このごろであった...

2019-07-07

フルーティなヤツら...

マシンの入れ替えついでに、オーディオ系統を見直すことに...
そして、Realtek High Definition Audio にちとハマってしまう。最新版の Realtek HD Audio Driver(Ver 6.0.1.8710) をインストールすると、微妙にうまくいかない。光端子とスピーカ出力をショートカットキーで切り替えられるようにしているが、スピーカ側のサウンドエフェクトが効かない。設定はできるのだけど。光端子側は正常。マザーボード ASRock Z390 Extreme4 には、Realtek ALC1220 Codec が搭載されているので、どちらも動くはず。そこで、古いバージョン(Ver 6.0.1.7960)をどこからか拾ってきてインストールすると、うまくいった。
尚、音声出力の切り替えには、DefaultAudioChanger(Ver x64_1.0.3)をずっと愛用している。

ついでに、フルーティなヤツらをいじる...
Windows Media Player 用の視覚エフェクトに、FRUITY というソフトウェアがある。こいつのメータ類が凝っていて意外とおもろい。ただ、デザインツールの使い勝手がいまいちで、慣れるまで一苦労だけど。そして、こんな感じで、いくつかの視覚パターンを作っているが、この酔いどれ天の邪鬼がデザインすると、どうも節操がない...






デスクトップのカスタマイズツールでは、Rainmeter を愛用しているが、オーディオ制御系がちと不安定。ソースのスイッチングなど。使えないほどではないのだが。凝ったイコライザや VU メータなどを公開してくれる人たちがいて惜しいのだけど、おいらの能力ではうまくチューニングできないでいる。
てなわけで、オーディオ系は、このあたりで落ち着いてる...

WMP + XTHREE(スキン) + FRUITY + DefaultAudioChanger

ちなみに、Win10 は、タスクトレイのスピーカアイコンからアプリケーションごとに音声出力デバイスを選択できるようになった。

[サウンド設定を開く] -> [アプリの音量とデバイスの設定]