2017-01-29

十周年企画... 名言集(社会、政治、経済編)

引き続きブログ開設十周年企画、すなわち、手抜き記事「社会、政治、経済編」を。新年早々、コピペ時代を謳歌する...

正義!理性!... こんな言葉を耳にすると、なにやらこそばゆい。それは、酔いどれ天邪鬼の精神が歪んでいる証であろう。世間とは恐ろしいものだ。全員が間違っている時は、全員が正しいことになるのだから。「世論はつねに私刑である。私刑はつねに娯楽である。」とは、芥川龍之介の言葉である。
一方、政治家たちは、こうした言葉がお好きなようである。言い訳には、真摯に受け止める!と決まり文句。謙遜というものが悪徳を知ってからでなければ身につかないとすれば、彼らの弁明が法律に縋り、法律のストレステストを繰り返すのも道理である。彼らの雇う優秀なコンサルタントは、正義や理性までも道具にする。政治の対立とは、まさに正しさを競うゲーム。正しさを争うことが正しいとするなら、既に循環論に陥っている。今、ラジオから中島みゆきの歌が聴こえてくる...
♪♪♪... 正しさと正しさとが相容れないのは、いったい何故なんだぁ~ Nobody is Right... Nobody is Right... ♪♪♪

人間には縄張り意識という性癖がある。かつて学問は総合的な知識の世界とされ、科学は自然哲学と呼ばれ、自然との調和から人間というものを問うた。その流れは、いつの間にか自然物に対して人工物で区別され、人間社会だけの合理性を問うようになった。人口が爆発的に増殖すれば、最も依存している自然との関わり方が見えなくなるのか。もちろん個人であらゆる学問を究めることは不可能だし、何か一つの専門を選択せざるをえない。しかしながら、他の分野についてなんらかの理解がなければ、自分の専門にも暗くなる。真理を探求する場に、理系も、文系も、はたまた体育会系もあるまい。夜の社交場では間違いなく、セクシー系も、癒し系も、はたまたハッスル系も必須だ!

1. 社会

「自我は自分自身の家の主人などではけっしてありえないし、自分の心情生活のなかで無意識に起こっていることについても、依然としてごく乏しい情報しか与えられていない。」... ジークムント・フロイト

「人々について知りたければ、身のまわりを見まわすがよい。だが人間を知ろうとするなら、遠くを見ることを学ばなければならない。共通の本性を発見するためには、まず差異を観察する必要がある。」
「人間が未知の土地に敢然と立ち向かったこの戦場に、次第に無秩序のうちに一つの単調な植物相が再生したが、その無秩序は、偽りの無垢の表情の下に戦いの記憶と経過を保っているだけに、なおのこと人を欺くのである。」
... クロード・レヴィ=ストロース

「病気こそは、人間の条件のうちの最たるものといえるだろう。なぜならば、動物でも疾病にはかかるけれど、病気におちいるのは人間だけなのだから。」... オリバー・サックス

「魂の病を治すことができるためには、哲学者でなければならない。実際、この病の起源は、病人が善と見做す、一つの事柄への激しい欲望にほかならないのだから、医師のなすべき義務は病人に、彼が熱望している事柄は表面的には善であっても実際には悪であるのを、明確な理由によって証拠だててやり、自分の誤りを悟るようにすることである。」... ミシェル・フーコー

「自分自身否認を必要としている医師は、否認を患者に見いだす。対決をためらわない医師は、彼らの患者もまた対決をためらわないことを見いだす。否認の必要度は、医師自身の否認の必要度と正比例する。だがこれはまだ問題の半面でしかない。」... エリザベス・キューブラー=ロス

「私は『見る』ために手術を受けたわけではないのです。『見る』とはどういうことかを知るために、手術を受けたのです。」... ロバート・カーソン著「46年目の光」より

「注意を払おうとしない読者にわからせる方法を、わたしは知らない。」
「精神的な事がらにおいては、可能性の限界は、わらわれが考えるほど狭いものではない。限界を狭くしているものは、われわれの弱さ、悪徳、偏見である。」
「ある土地に囲いをして、これはおれのものだ!と宣言することを思いつき、それをそのまま信ずるほどおめでたい人々を見つけた最初の者が、政治社会(国家)の真の創立者であった。」
「わずかなことしか知らない人は多くのことを語り、多くのことを知っている人はわずかなことしか語らない。無知な人間は自分が知っていることをなんでも重要なことだと思い、だれにでもそれを話す。」
「書物の悪用は学問を殺す。人々は、読んだことは知っているのだと思い、自分はそれを学ぶ必要はないと思い込んでいる。あまりたくさん読むことは、なまいきな無学者をつくるのに役立つにすぎない。」
... ジャン=ジャック・ルソー

「思想が人間をもっぱら論理的に強制する力が、歴史上いかに巨大な意義をもったにしても、マルクス主義はその顕著な一例であるが、人間の頭脳にある経験的、歴史的事象は、通例、心理的に制約されたものと理解されるべきであって、論理的に制約されたものと理解されてはならない。」... マックス・ヴェーバー

「資源が枯渇して富が満足に全体に行きわたらなくなると、決まって弱者は強者に自由を捧げる。しばしば大衆は、富者から富を奪い、貧者に施すことを約束する煽動政治家たちに追随する。」
... Vernon Gill Carter & Tom Dale 著「土と文明」より

「ニュースのはたらきは、一つの事件の存在を合図することである。真実のはたらきは、そこに隠される諸事実に光をあて、相互に関連付け、人々がそれを拠り所にして行動できるような現実の世界を描き出すことである。これらが一体化した時、世論の力が発揮される。」... ウォルター・リップマン

「プロパガンダの秘訣とは、狙った人物を、本人がそれとはまったく気づかぬようにして、プロパガンダの理念にたっぷりと浸らせることである。いうまでもなく、プロパガンダには目的がある。しかし、この目的は、ぬけめなく、卓越した技量で、覆い隠されていなければならない。その目的が達成すべき相手が、それとまったく気づかないほどに。」... ヨーゼフ・ゲッベルス

「良い政府が存在するが良い新聞が存在しない世界よりも、良い新聞だけが存在して良い政府が存在しない世界のほうが良い。」... トーマス・ジェファーソン

「イデオロギーが統一されていても文化的に分裂している国は分裂する。イデオロギーが異なっても文化的に共通すれば統合される。文明の衝突こそが人類の根本的問題であり最も根深い。」... サミュエル・P・ハンティントン

「満足した豚よりも不満を抱えた人間の方がよく、満足した愚か者よりも不満を抱えたソクラテスの方がよい。」... ジョン・スチュアート・ミル

「極端に幸福な人間も、極端に不幸な人間も、同様に冷酷になりやすい。修道士と征服者とがその証拠である。優しさと憐れみとをもたらすのは、中庸および幸運と悪運との混合のみである。」... シャルル・ド・モンテスキュー

「有名になりたがる者の幸福は他人次第である。快楽を追求する者の幸福は自分ではどうしようもないその場の雰囲気によって変わる。しかし、賢き者の幸福は自分の自由な行動によって大きくなる。」... マルクス・アウレーリウス

2. 政治

「政治では、恐怖で始まることは、普通、愚行で終わる。」... サミュエル・テイラー・コールリッジ

「情報に精通した有権者がいなければ、政治家は底辺の10億人の国を写真撮影の機会に利用する。」... ポール・コリアー

「民主主義とは、人々の半分以上が二度に一度以上は正しいという点に、繰り返し気付くことである。」... E.B.ホワイト

「軍国主義とは、いたずらに軍隊の形式論を弄んだり、軍人の大言壮語や行き過ぎた軍人精神を市民生活に導入しようとすることしか考えていない。もとより真の軍人ならばそんなものは排斥する。軍人こそ戦争の恐ろしい結果を本当に知るものであって、だからこそ人間として戦争を否定するのであり、名誉心にかられての侵略や武力政策の思想は、およそ軍人とは縁遠いものなのである。」... ハインツ・グデーリアン

「戦争遂行者は戦略家以上の人物でなければならない。その人物は指導者と哲学者を結びつけたような人物でなければならない。戦略というものは、その主体が敵を欺騙する術と関係しているので、それ自体が道徳に対立するものであるのに対して、大戦略は道徳と両立する傾向を持っている。」... バジル・リデルハート

「原始人の最も危険な敵は自分の属している人種の敵であった。今日でも、人間が人間の唯一の敵である。そして人が人を攻撃するのは50万年前と全く同じである。戦争と狩猟は昔からアピールする。これは本能的に、どんな子供でも鉄砲が好きで、どんな大人でも殺害にスリルを感じるゆえんである。」... ジョン・フレデリック・チャールズ・フラー

「私有のないところに不正はありえない。」
「父親の権力は、未成年のために子供が自分の固有権を処理できない場合にのみ存在し、政治権力は、人々が自分自身で処分できる固有権を持つ場合に、そして、専制権力は、まったく固有権をもたない人々に対して存在する。」... ジョン・ロック

「世界は政治哲学をもつにはまだ若すぎる。」
「政治的企画室というのは、権力を握ると、これほど有害なものはないし、権力をもたなければ、これほど滑稽なものもない。」
... デイヴィッド・ヒューム

「君主にとって必要なのは、信義の資質を有することではなく、それを持っているように見えることである。」... ニッコロ・マキャヴェッリ

「日本では平和ボケという言葉が使われることが多くなっている。その言葉を借りるなら、負けると分かっている戦争で徹底抗戦するなどと予測する専門家たちこそが、まさに平和ボケしていたのである。」... 加藤健二郎

「友好的な国はある。しかし友好的な諜報機関はない。」
「普通の悪党でも人を殺すことはできる。しかし、殺しを自殺と見せかけるには諜報機関の才能を必要とする。」
... 落合信彦

「本当の情報操作とは嘘に基づくものではない。部分的事実を誇張して相手側に間違った評価を与えることである。」
「霞ヶ関と永田町は隣町だが、その距離は実はいちばん遠い。なぜなら、地球を反対側に一周しなくては行き着けないからである。」
... 佐藤優

「世界的な陰謀を研究する時に、あらゆる悪の根源は大掛かりなユダヤ人の陰謀であると決めつけるヒトラー主義を鵜呑みにしてはならない。こうした企みを抱くグループは国際銀行家であって、特定の人種や宗教ではなく金と権力への渇望であることを心に留めておくことが肝要である。」... W・クレオン・スクーセン

3. 経済

「おお、売りに出された都市よ、この都市は、買い手が見つかれば、たちまち消えてなくなるだろう。」... サルスティウス「ユグルタ戦記」より

「銀行家とは、資金を必要としない人たちに貸したがる連中のことを言う。」... 経済学の格言より

「A から略奪を行い B に支払いをする政府は、いつでも B の支持を期待できる。」... ジョージ・バーナード・ショー

「穀倉が作物でいっぱいなときでも、飢饉が起こりうる。」... アマルティア・セン

「地球はすべての人間の必要を満たすのに十分なものを提供するが、すべての人間の貪欲を満たすほどのものは提供しない。」... マハトマ・ガンジー

「ムダを経済効果といい替えるのは、諸官庁や特殊法人の間では常識です。ムダな支出が五兆円と聞けば、誰もが腹を立てますが、経済効果が五兆円ならば、国民の賛同が得られます。」... パオロ・マッツァリーノ

「ケインジアンのご信託はしごく明白である。御用心!道徳的な配慮は全然無関係であるだけでなく、実際には障害である。不公正は有益であっても、公正は有益ではないのだから、公正の時代はまだきていない。天国への道は悪しき意図によって舗装されている。」... エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハー

「国王や閣僚が民間人の家計を監視し、贅沢禁止法や贅沢品輸入の禁止によって民間人の支出を抑制しようとするのは、まったく不適切だし厚顔無恥である。国王と閣僚は常に例外なく、社会のなかで最大の浪費家である。」... アダム・スミス

「貨幣流通は恐慌なしにもおこなわれうるが、恐慌は貨幣流通なしにはおこりえない。」... カール・マルクス

「グレアムを知らずに投資するのは、マルクスを知らない共産主義者のようなもので、マーケットの原理を知らないのと同じことだ。」
「年金物語の大半は、労働組合の力がゆっくりと増大する物語である。」
「保険にばかげた値段を支払おうという客がいるのに、売らない理由がどこにある。」
... ロジャー・ローウェンスタイン

「相場とは持続不可能な楽観主義と根拠のない悲観主義との間を永遠に行ったり来たりする振り子である。賢明な投資家とは、楽観主義者に売り、悲観主義者から買う現実主義者である。」... ベンジャミン・グレアム

「人間のあらゆる不幸の原因は、ただひとつ、部屋でじっとしているすべを知らないことである。」... ブレーズ・パスカル

「冷笑家(シニック)とはどんな人間か。それは、あらゆるものの価格を知っていて、何ひとつ価値を知らぬ人間のことである。」... オスカー・ワイルド

「金融生態系では、進化力は、もっとも適応したものでなく、もっとも太ったものを生存させる。」... アンドリュー・ホールデン & ロバート・メイ

「残念ながら、日本には、やれ『ケインズは死んだ』だの、『古典派は古い』だのと聞く耳を持たない輩が多い。実際、どちらの処方箋も日本では上手く作動しないが、その原因は『理論』にある訳ではない。両派が研究の対象としている資本主義と、その精神がないからである。」... 小室直樹

2017-01-22

十周年企画... 名言集(歴史、哲学、文学、言語学編)

引き続きブログ開設十周年企画、すなわち、手抜き記事「歴史、哲学、文学、言語学編」を。新年早々、コピペ時代を謳歌する...

人間の本性は、悟性のうちに確固不動なるものを求める。身体と精神は、共に運動する存在でありながら、魂は安住、安定を求めてやまない。相対的な認識能力しか発揮できない知的生命体は、絶対静止なるものを知らない。それゆえ静止に焦がれるのか。
しかしながら、身体にとっての静止とは、死を意味する。身体は本能的に死を恐れながら、魂はというと、怖いもの見たさという衝動に駆られる。ニーチェ曰く、「人間は神の失敗作に過ぎないのか、それとも神こそ人間の失敗作にすぎぬのか。」

論理学には、根本的な思考原理に三段論法ってやつがある。こいつは人間精神と非常に相性がよく、大前提、小前提、そして結論へと導くやり方が妙に説得力を与える。それゆえ古来、熱病のごとく研究されてきた。弁論術は、媒辞を通じて命題を原理に還元し、そこには、自己存在の意義を求める思惑が潜んでいる。すべての原因と結果に因果関係を求め、すべての根源に理屈を与え、説明できないものには屁理屈も厭わない。何かのせいにしなければ、生きることも難しいのだ。誤りに門戸を閉ざすならば、真理もまた締め出してしまうだろう。
不完全な存在が求めてはならぬもの、それは完全性であろうか。学識が人間を傲慢にすることもしばしば。知らない相手を小馬鹿にしたり、知識を議論で勝つための道具としたり、結局は自己存在を自己優越に変質させる。答えの見つからない命題を前にすれば、いかようにも解釈でき、そして、説明に困った挙句に登場させるのが、完全なる神の存在である。最後は神に縋り、すべてを神のせいにできれば、神も本望であろう。
論理学に王道があるとすれば、おそらくそれは演繹法であろう。世界を人間の能力だけで完全に説明できるならば、演繹法だけで済むはずだ。
しかしながら、現実社会を生きるためには、帰納法に頼らざるをえない。正当な論理性だけでは、この複雑怪奇な人間社会を説明することができないのだ。善ってやつは、実証的に決定されるのではなく、心のうちに常につきまとう不安によって決定される。そして、形而上学を論じれば、相変わらずプラトンとアリストテレスの代理戦争を繰り返す。いや、プラトンやアリストテレスだって、記録という技術のない時代を生きた先人たちの代理戦争を繰り返していただけのことかもしれない。その証拠に、知の歴史は考古学から脱し得ず、血の歴史を繰り返す。ジョン・スローン曰く、「死んだ人の悪口を言うのはよくないから、生きているうちにせいぜいこきおろしておこう。」

1. 歴史

「人間は自分の歴史をつくる。けれども歴史をつくっていることを知らない。」... カール・マルクス

「自由と平和は、あくまでも原始以来のそれであり、その実体は時代とともに衰弱し、真の意味で自覚された自由と平和と平等の思想を自らの胎内から生み落とすとともに滅びていく。だからこそ、世俗の世界から、この自由と平和の世界に入ることはできても、その逆の道を戻ることは次第に困難、かつときには絶望的と思えるほどになっていく。」... 網野善彦

「人間の性質のうちには寛濶に答えるには寛濶をもってし、充溢に答えるには充溢をもってする、というところがある。」
「歴史は余計な後押しの手を少しも必要とはせず、ただ畏敬をもって叙述する言葉だけを必要とする。」
「歴史は、同時代人には、彼らの時代を規定している大きなさまざまな動きを、そのほんの始まりのうちに知らせることはしない、というのが、つねに歴史のくつがえしえぬ鉄則である。そこで私も、いつ初めてアドルフ・ヒトラーの名前を聞いたのかをもはや思い出すことはできない。」
... シュテファン・ツヴァイク

「私が神から特別に保護されていないという証拠はあるのか。」... アドルフ・ヒトラー

「純粋なアーリア人とは何でしょう?それはヒトラーのようにブロンドで、ゲッペルスのように背が高くて、ゲーリングのように細っそりとしていて、その名前をローゼンベルクという。」... 当時のジョークより

「神聖でもなくローマ的でもなく、そもそも帝国ですらない。」... ヴォルテール

「人間のもつ人間らしさというものは、脆いものであり、人間性だけに頼るのは軽率であろう。明確な規範をもち、人間性の豊かな社会を土台とする強い国家だけが、歴史のなかで正義から悪が生まれるのを効果的に防ぐことができる。」
「権力は悪である。かぎられた権力で満足できる人間はいない。それができるのは聖人だけであろう。」
... グイド・クノップ

2. 哲学

「百パーセントのアルコールがないように、百パーセントの真理というものはない。」... ジークムント・フロイト

「愛することのすぎたる者は、また憎むことのすぎたる者なり。」... 古代ギリシアの格言より

「理知の視力は、肉眼の視力がその減退期に入ると、ようやくその鋭さを増し始める。」
「言論の場に立ち向かう者は、対話を行う両者に対して、公平な聞き手でなければならないけれども、平等な聞き手であってはならない。」
「死とは、人間にとって幸福の最上なるものかと問えば、知っている者はいない。では、最悪のものかと問えば、人々は覚知しているかのごとく、死を恐れる。」
... プラトン

「最高善が幸福であることは万人の容認せざるをえないところ。だが、幸福の何たるかについては異論がある。」
「人々は、不正をはたらくということは自分の勝手になることだ、だから正しい人間たることも容易なことだと思っている。」
「人は自愛的でなくてはならない。だが世人の多くがそうであるごとき意味においては自愛的たるべきでない。」
... アリストテレス

「人間どもよ!と叫ぶと人々が集まった。おれが呼んだのは人間であって、がらくたなんぞではない。」... ディオゲネス

「知性の欠乏は、とかく多言を弄する。」
「自ら迷わされ、人を迷わし、自ら欺かれ、人を欺く。」
「悪意のある善意というものがあるとするなら、本当に心から憐れむ人は同情するために、哀れな人々の存在を望むこともある。それゆえ、是認されるべき悲しみもあるが、けっして愛されるべきではない。それゆえ、魂を愛する主であられるあなたは、わたしたちよりも、はるかに清く純粋に魂を愛されるのである。」
... 聖アウグスティヌス

「ある人にとっては、優しそうな友人より辛辣な敵の方が役に立つ。敵はしばしば真実を語るが、友人は決して語らぬから。」
... 大カトー

「節度があり気むずかしさや不人情とは無縁の老人は耐えやすい老年を送るが、苛酷さと不人情は、どの世代にあっても煩わしいものだ。」... キケロ

「何にもまして有益なのは、死の定めを思うことである。」
「すべての人間の中で唯一、英知のために時間を使う人だけが閑暇の人であり、真に生きている人なのである。」
「人は皆、あたかも死すべきものであるかのようにすべてを恐れ、あたかも不死のものであるかのようにすべてを望む。」
「何にせよ度を過ぎれば害になるが、節度なき幸福は何より危険である。脳を揺さぶり、心を虚ろな妄想へ誘い込み、偽りと真実の中間の靄を大量にまき散らす。徳の支援の下に絶えざる不幸を凌ぐほうが、はてしない度外れの善で破裂するより、どれほどましなことか。断食の死のほうが楽である。食いすぎは破裂させる。」
「怒りの最初の発作を言葉で鎮めようとしてはならない。耳が聞こえず、正気でないのだから。怒りに時の猶予を与えよう。緩和してきたとき、治療はよく効く。目が腫れ上がってる時は手当てを控え、力が冷えて固まっている時、動かすことで刺激する。他の疾患でも、激しい時は同様である。病気の初期段階は安静が癒してくれる。」
... セネカ

「道理があるからといって必ず報われると思うのでは道理から外れている。」
「学んでも考えなければ、はっきりしない。考えても学ばなければ、危険である。」
「自分のことばに恥を知らないようでは、それを実行するのはむつかしい。」
「君子には仕えやすいが、喜ばせるのはむつかしい。道義によって喜ばせるのでなければ喜ばないし、人を使うときには、長所に応じた使いかたをするからだ。小人には仕えにくいが、喜ばせるのはやさしい。喜ばせるのに道義によらなくても喜ぶし、人を使うときには、何でもさせようとするからだ。」
「生まれついてのもの知りは一番上だ。学んで知るのはその次だ。ゆきづまって学ぶ人はまたその次だ。ゆきづまっても学ぼうとしないのは、最も下等だ。」
... 孔子

「知識はこれを学ぶ者の心に同化せられ、その品性に現れる時においてのみ、真に知識になる。」... 新渡戸稲造

「禅とは、中国のタオとインドの仏教を混ぜ合わせ、日本人がこしょうと塩で味付けしたようなものだ。」
「美徳と隣人愛を宣伝しなくなれば、隣人愛は回復する。」
... レイモンド・スマリヤン

「真に神を愛するものは、神からも愛されることを願ってはならない。」
「自由な人間が、死ほどおろそかに考えるものはない。自由人の叡智は、死ではなく生を考えるためにある。」
「精神は理解することがより少く知覚することがより多ければ、それだけ大きな虚構能力を有し、また理解することがより多ければ、それだけそうした能力が減少する。」
... スピノザ

「もし信仰と理知の境が立てられないと、狂信すなわち宗教で常軌を逸したことも反駁できない。」
「必然性と自由が両立できて、同時に自由に束縛されるということができるのでないかぎり、自由であるはずはない。」
...ジョン・ロック

「哲学をばかにすることこそ、真に哲学することである。」
「二種の人々がいるだけである。一は、自分を罪びとだと思っている義人、他は、自分を義人だと思っている罪びと。」
「人は良心によって悪をするときほど、十全にまた愉快にそれをすることはない。」
「キリスト教を本当だと信じることによって間違うよりも、間違った上でキリスト教が本当であることを発見する方が、ずっと恐ろしい。」
... ブレーズ・パスカル

「意識の度が増せば増すほど絶望の度も増す。」
「孤独への衝動は精神の徴候であり、精神のありかたを量る尺度である。」
「勇気をもって挑戦すれば、一時的に足場を失う。だが挑戦しなければ、自分自身を失う。」
... セーレン・キェルケゴール

「およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じえないことについては人は沈黙せねばならない。」... ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン

3. 文学

「死というものがなかったなら、この地上に詩人は生まれなかったろう。」... トーマス・マン

「多くの書物は、これほどに明晰にしようとしなかったら、もっとずっと明晰になったろうに。」... イマヌエル・カント

「少なくとも作家の名に値する作家というものは、なによりもまず自分自身のために書く強烈なエゴティストである。なまじ世道人心や良俗教育のために書かれた文学に碌なものがなく、ひたすら自我のカタルシスのために書かれた作品こそが、かえって人間を高め、浄める文学であるというのは、文学の一つの皮肉である。」... 中野好夫

「たいていの本は、小論文で十分。たいていの小論文は、ブログで十分。たいていのブログは、ツイッターで十分。そして、たいていのツイッターは、そもそもツィートするほどの価値はない。昨今、本を書くというのは、期待などという言葉では収まらない大胆な行為だ。」... イアン・ブレマー

「人間は、自由が与えられる途端に自由に飽き、生を与えられる途端に生に耐えがたくなる。」
「現代は、生き延びることにすべての前提がかかっている時代である。それが民主主義だ。」
... 三島由紀夫

「人間であるか精神になるか、そのどちらかを選ばねばならない。人間が行動できるのは、ただただ知らずにいることができ、人間の特異な奇癖である認識の一部分で満足できるからに他ならない、つまり、この認識というものは必要以上に少し大き過ぎるのだ!」
「真実と虚偽とは同一の目的をめざす。 同じひとつのものが、別々の仕方で振舞うだけで、わたしたちを嘘つきにもするし、真実を語る者にもする。」
... ポール・ヴァレリー

「己に嘘をつく者は、腹を立てるのも誰より早い。」
「人間にとって良心の自由ほど魅力的なものはないけれど、同時にこれほど苦痛なものもない。」
... フョードル・ドストエフスキー

「善人は気楽なもので、父母兄弟、人間共の虚しい義理や約束の上に安眠し、社会制度というものに全身を投げかけて平然として死んで行く。だが堕落者は常にそこからハミだして、ただ一人曠野を歩いて行くのである。悪徳はつまらぬものであるけれども、孤独という通路は神に通じる道であり、善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや、とはこの道だ。キリストが淫売婦にぬかずくのもこの曠野のひとり行く道に対してであり、この道だけが天国に通じているのだ。何万、何億の堕落者は常に天国に至り得ず、むなしく地獄をひとりさまようにしても、この道が天国に通じているということに変りはない。」... 坂口安吾

「伝統の奴隷にならぬというのが、わたしどもの伝統でしてね。」
「信仰の根幹には中庸があり、いかなる行き過ぎも避けるという徳を説き、逆説的にはその徳そのものの行き過ぎですら避ける。」... ジェームズ・ヒルトン

「時事問題の騒音を BGM にしてしまうのが古典である。同時に、この BGM の喧噪はあくまでも必要なのだ。」
「古典を読むのは、それがなにかに役立つからではない。古典を読まなければならない理由は、ただひとつしかない。それは読まないより、読んだほうがいいからだ。」
... イタロ・カルヴィーノ

「不機嫌は、愚劣な虚栄によって煽られた嫉妬とつねに結びついている。」
「われらの書きしもの、正誤いずれにせよ、われら生くる限り、それを弁護してやまず。われらの死後、いま遊び戯れる子らが裁き手とならん。」
... ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

「人間は、時として、充たされるか充たされないか、わからない欲望のために、一生を捧げてしまう。その愚を哂う者は、畢竟、人生に対する路傍の人にすぎない。」... 芥川龍之介

「人生のあらゆる形式は、その初め生じた時に意義がある。礼をして荘重ならしむるものはその意義である。」... 森鴎外

4. 言語学

「人間は言語によってはじめて人間である。しかし、その言語を考案するには、すでにまず人間でなくてはなるまい。」... ヴィルヘルム・フォン・フンボルト

「母語に対して超越論的であることは難しい。また、母語を外部の視座から問うのは難しい。しかし、そうすることによってしか母語は問われないのかもしれない。そうであるとすれば、私たちははじめからこの困難の中にあることになる。」... 浅利誠

「認識と言語とは厳密な意味で交錯する。両者は、表象のうちに同一の起源と同一の機能原理をもち、互いに支えあい、補いあい、たえず批判しあう。」... ミシェル・フーコー

「言葉はもともと歴史的な存在であり、過去によつて刻印を打たれることではじめて機能が成立するものなのだから、然るべく言葉を選ぶには、その語の由来来歴から現代との関係に至るまでの総体をしつかりと感じ取ってゐなければならない。」... 丸谷才一

「文法は言語の規則とみなされている。だが、日本語をしゃべっている者がその文法を知っているだろうか。そもそも文法は、外国語や古典言語を学ぶための方法として見出されたものである。文法は規則ではなく、規則性なのだ。... 私は外国人のまちがいに対して、その文法的根拠を示せない。たんに、"そんなふうにはいわないからいわない"というだけである。その意味では、私は日本語の文法を知らないのである。私はたんに用法を知っているだけである。」
... 「定本 柄谷行人集、ネーションと美学」より

2017-01-15

十周年企画... 名言集(建築、美術、音楽編)

引き続きブログ開設十周年企画、すなわち、手抜き記事「建築、美術、音楽編」を。新年早々、コピペ時代を謳歌する...

人の一生とは狂言のようなもの。猿の仮面をかぶれば猿に、武士の仮面をかぶれば武士に、エリートの仮面をかぶればエリートに、サラリーマンの仮面をかぶればサラリーマンになりきる。あとは、幸運であれば素直に波に乗り、不運であれば生きる糧とし、いかに達者を演じきるか。同じ阿呆なら踊らにゃ損々...

しかしながら、才能ってやつは、なかなか演じることができない。分相応とは、この領域において言うのであろう。画家や詩人には創作の自由がある。キャンバスや譜面といった二次元的な形象を、多次元的な実体に変換してみせる。しかも、これは不可逆変換だ。凡庸な、いや凡庸未満な酔いどれごときが自由が欲しいと大声で訴えている間も、自然な天才は静かに自由を謳歌してやがる。
予断と合わぬ知識に対しては、芸術家どもは比喩の助けを借りて、すべてを間接的に仕掛けてくる。凡人には理解できまいと、嘲笑うがごとく。なにゆえ、こうも寓意に縋らねばならんのか。直接的では、あまりにも恥ずかしいというのか。マーク・トウェインは、うまいことを言う、「人間は顔を赤らめる唯一の動物である。否、顔を赤らめる必要のある唯一の動物である。」と...

おまけに、鑑賞者は芸術家のこしらえたものに夢を託す。なんと無責任な。現実が夢を壊すというなら、夢で現実を壊すしかない。創造物なんてものは、天才の手に委ねるのが一番だ。言葉を知らぬ者は、黙っておくべきなのだろう。だが、沈黙を守る術を知る者が、この世にどれだけいるというのか。そして、このような駄文ブログがのさばる。バーナード・ショーは、うまいことを言う、「人が死んでも、人生は依然として可笑しく、人が笑っても、人生は依然として深刻である。」と...

1. 建築

「生き生きとしてまとまりのある社会には、独自で固有の明確なパタン・ランゲージがあり、しかも社会のすべての個人が、部分的に共有するとしても、全体としては自分の気持に合わせた、独自のランゲージをもつであろう。この意味で健全な社会には、たとえ共有され、類似していても、人間の数だけパタン・ランゲージが存在するであろう。」... クリストファー・アレグザンダー

「自然の中に直線が表れるのは稀である。自然は数学ではない。だが、規則的なスタイルは精神を満足させる。無秩序でないものに人間は満足感を得る。だからといって、人間を満足させるように努めるだけが能ではない。」
... R. デシャルヌ & C. プレヴォー著「ガウディ 芸術的・宗教的ヴィジョン」より

2. 美術

「茶道は、美を見いださんがために美を隠す術であり、現わすことをはばかるようなものをほのめかす術である。」... 岡倉天心

「死せる者は死せる者のごとく、生ける者は生ける者のごとくなりき」... ダンテ

「芸術家は、革命家になるか、剽窃家になるかのどちらかだ。」...ポール・ゴーギャン

「いかなる種類の人間であろうと、なんらかの実力の業、あるいはまさしく実力とまごうかたなきことを成し遂げたならば、誰でも、正直で誠実な人であるかぎり、みずからの手でおのれの生涯を書き記すべきであろう。とはいえ、それほど大事な目論見であれば、四十歳を越える前にはとりかかるべくもあるまい。」... ベンヴェヌート・チェッリーニ

「いかなる分野の仕事であれ、秀でた人物が出現するとき、多くの場合たった一人だけでないのが自然の摂理である。」
「非常の才能を身に備えているのでないくせに、運命に助けられる人が数多く世にいる。そしてちょうどその逆に、才能を身に備えていながら逆運にいじめられて泣く人も数限りなく多い。それだから運命の女神が寵愛する子供というのは、まったく才能の助けなしに、運命の女神にすがるものだということがよくわかる。」
... ジョルジョ・ヴァザーリ

「ラファエロには、ただ一つの傑作というものはない。彼のどの作品にも、"刹那よ、とどまれ!"ということはできない。彼は水であり、河である。それも、澄んだ河である。まわりのものを誰よりもみごとに映して見せる、鏡のごとき河である。彼が本当に持っていたもの、それは透明さなのだ。それは、自己の色を持たないということを意味している。」... 若桑みどり

3. 音楽

「聞こえる旋律は甘美だが、聞こえない旋律はもっと甘美だ。」... ジョン・キーツ

「バッハのカンタータの歌詞は、なんでああ大げさでばかばかしい内容のものが多いのかね。イエスと魂が延々とラブシーンまがいの台詞を言い合うのにはまったくうんざりするよ。」
... 樋口隆一著「バッハの風景」より

「モーツァルトを聴いていると、名曲聴いて、旨い物食べて、酒飲んで寝て、一度しかない人生楽しんで生きて、なに悪かろうという気になる。ベートーヴェンを聴くと逆に、そんな遊び呆けていては駄目だ、人間として生まれたからには、何かを成さなければならない、成すために君はここに生をうけたのだと、そのように言われているような気持ちにさせられる。小生にとっては、ハタ迷惑な暑くるしい作曲家である。」... 井上雅之

「とても分かりやすく、それでいて何とも不可解な、言いようのない音楽の深みは、音楽が私たちの最も内側にある感情をすべて再現しているのに、リアリティがまったくなく、痛みからはかけ離れている... という事実に起因する。音楽は人生とそこで起こる出来事の真髄のみを表現し、決してそれ自体を表現するのではない。」... アルトゥル・ショーペンハウアー

「音楽とは、マクロな時間領域では遺伝子と文化によりコード化された特異的に持続する情報構造をとり、ミクロな時間領域では連続して変容する非定常な情報構造をとり、脳の聴覚系および報酬系を活性化する効果をもった人工的な音のシステムである。」... 大橋力

「音楽は言葉で説明するものではない。表現がすべてであり、わかる人にはわかる、わからなければそれもやむをえない。だが、そう突き放されることでどれだけの音楽が私たちの手を離れていっただろう。言葉で説明することを邪道とする固定観念は、鑑賞者よりもむしろ音楽家自身を不自由にしてきたのではないだろうか。それが彼らのストイシズムである一方で、呪縛となっていたことは否めない。」... 最相葉月

「音楽についてというのでなく、演奏と演奏家について書くということが、とかく、やりきれないほど皮相的で、あわれなことになりやすいのも、その理由は、演奏の本質によるというより、むしろ人間の心の深いところに潜在しているのであろう。」... 吉田秀和

「ニヒリズムと狂気がないまぜになったところにこそ、最高の美が生まれる。」... 中川右介

2017-01-08

十周年企画... 名言集(技術、マネジメント編)

引き続きブログ開設十周年企画、すなわち、手抜き記事「技術、マネジメント編」を。新年早々、コピペ時代を謳歌する...

自己をマネジメントすることは難しい。備忘録を蓄積したところで記憶力がついていけない。そして、楽をしながら金儲けをしようと目論む。そのために情報収集に努め、知識を得、生き方を工夫するとは、なんとも奇妙である。怠惰を求めて、勤勉に辿りつくという寸法よ。サミュエル・ジョンソンは、うまいことを言う、「多忙という威厳をまとった怠惰に、人は何よりもたやすく惹きつけられる。」と...

学問の真髄とは、自由に試行錯誤することにあろうが、それは、啓発された利己心と健全な懐疑心によって支えられる。この道は、真っ直ぐではつまらない。寄り道、回り道の類いがなければ。そして、継続こそが力となる。アリストテレスは、うまいことを言う、「人生とは、繰り返し行うことの集大成である。それゆえ優秀さとは、行為ではなく、習慣である。」と...

精神科医は、よく指摘する。神経衰弱に陥る時の兆候に、自分の仕事は極めて重要なものだという認識があると。解決策が分からないのではない。そもそも問題が分かっていないのだ。最大の課題は、正しい答えを見つけることではなく、正しく問うこと。誤った問いに対する正しい答えほど危険なものはない。まずは、じっくりと問い方を探してみようではないか。そして、仕事がこの世で最高のものだというのなら、明日のためにちゃんと残しておこう。
♪♪♪... 明日は~、どっちだぁ~... ♪♪♪

1. 技術

「神よ、時を知る方法を最初に見つけた人間を呪いたまえ!この地上に日時計をもたらし、わが日々を無残に細かく切り刻んだ者をも呪いたまえ!」... マッキウス・プラウトゥス

「失敗などしていない。うまくいかないやり方を一万通り見つけただけだ。」...トーマス・エジソン

「完璧というものは、付け足すものがなくなったときではなく、取り去るものがなくなったときに達成される。」... アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ

「簡潔に言うっていうのはすごくいい。自分が今どこにいるか知っていようが知っていまいが。」...サミュエル・バトラー

「抽象化は人間独特のものだ。私たちはいつ何どきでも、目覚めているかぎりは抽象化を行っている。しかし、ずっとそうしてきたわけではない。有史以前のいつか、はじめて抽象化が行われた瞬間があったはずだ。原始の人類が何かを見つめ、なんとなく見覚えがあるなと思い、突然 "ああ、またアレだ!" とひらめいた瞬間が。それが最初の抽象化である。その瞬間から、何もかもが変わった。人はこの地球上に解放された。」... トム・デマルコ

「実はハッカーというのは、言論の自由に対してものすごく執着するものなんだ。」... ポール・グレアム

「母国語で満足に書けないようなら、プログラミングはあきらめることだ。」... エドガー・ダイクストラ

「プログラムコードには、およそ人が『書く』もののエッセンスのほとんどが詰まっている。よい問題解決に始まり、設計、製造、検査、保守改良に至るソフトウェアのライフサイクルをきちんと制御する能力の大半は、実は文章の力であり、文章の力はよいコードを書く力とほぼ等価である。つまり、『美しいコード』を書けるということは、たとえ、コードを書くチャンスがなくても『美しいソフトウェア』を開発できるということなのだ。」... 竹内郁雄

「私にフローチャートだけを見せて、テーブルは見せないとしたら、私はずっと煙に巻かれたままになるだろう。逆に、テーブルが見せてもらえるなら、フローチャートはたいてい必要なくなる。それだけで、みんな明白にわかってしまうからだ。」... フレデリック・ブルックス

「禅の指導者は、数学が出来るようになりたければラテン語を勉強せよと言うだろう。プログラミングでも同じだ。オブジェクト指向プログラミングの本質を深く理解するには、論理プログラミングや関数型プログラミングを勉強する必要がある。関数型プログラミングに上達したければ、アセンブラを勉強する必要がある。」... ジョー・アームストロング

「Unixは、オペレーティングシステムというより口承文学だ。」... ニール・スティーヴンスン

「安全でしかも速いドライバーになるためにいちばん大切なのは、素早い反射神経ではなく、むしろ的確な予測能力である。」... ポール・フレール

2. マネジメント

「チームの問題は、技術的な問題と同じくらい、時にはそれ以上に、手ごわい。」... Esther Derby & Diana Larsen 著「アジャイル レトロスペクティブズ」

「プロジェクトマネージャの実力は、チームメンバーの人間関係で評価されると言っても過言ではない。」... スコット・バークン

「大事なのは本を読むことではなく、考えること。まず考えれば、何を読めばいいかだってわかるんです。まとまった時間があったら本を読むなということです。本は原則として忙しいときに読むべきものです。まとまった時間があったらものを考えよう。」... 丸谷才一

「右手がやっていることを左手が知らないせいで、スケジュールの惨憺たる状態だとか、機能がうまく合っていないとか、システムのバグといったことが一度に生じる。... チームは憶測でばらばらになっていく。」
「最悪の建築物は、用途に対してコストを掛け過ぎたものだ。バッハの創造的な作品には、定められた様式のカンタータを毎週作り出さなければならないという要請に押しつぶされたところなど微塵も見られない。」
... フレデリック・ブルックス

「思いの種を蒔き、行動を刈り取り、行動の種を蒔いて習慣を刈り取る。習慣の種を蒔き、人格を刈り取り、人格の種を蒔いて人生を刈り取る。」
「人は変わらざる中心がなければ、変化に耐えることができない。変化に対応する能力を高める鍵は、自分は誰なのか、何を大切にしているのかを明確に意識することである。」
「相乗効果の本質は、相違点、つまり知的、情緒的、心理的な相違点を尊ぶことである。相違点を尊ぶ鍵は、すべての人は世界をあるがままに見ているのではなく、自分のあるがままに見ているのだということを理解することである。」
... スティーブン・R・コヴィー

「終極において、人は人生の意味は何であるかを問うべきではない。むしろ自分が人生に問われていると理解すべきである。ひとことで言えば、すべての人は人生に問われている。自分の人生の責任を引き受けることによってしか、その問いかけに答えることはできない。」... ビクター・フランクル

「神様は心の内側から外側に向けて働きかけるが、この世は外側から内側に向けて働きかける。この世は貧民窟から人々を連れ出そうとするが、主は人々から邪悪や汚れた面を取り去り、自分自身で貧民窟から抜け出られるようにする。この世は環境を変えることによって人間を形成しようとするが、主は人間自体を変え、それによって人間みずからの手で環境を変えられるようにする。この世は人の行動を変えようとするが、主は人の人格を変えることができる。」... エブラ・タフト・ベンソン

「基本と原則に反するものは、例外なく破綻する。」
「完璧な組織構造などありえない。せいぜいできることは、問題を起さない組織をつくることである。」
「最大の無責任とは、能力を超えた課題に取り組み、あるいは社会的責任の名のもとに他から権限を奪うことによって、自らの特有の機能を遂行するための能力を損なうことである。」
「変化への抵抗の底にあるのは無知である。未知への不安である。しかし、変化は機会と見なすべきものである。変化を機会として捉えたとき、初めて不安は消える。... 変化ではなく沈滞に対して抵抗する組織をつくることこそ、マネジメントにとって最大の課題である。」
「プロであるからといって正しいことをするとは限らない。最善を尽くすのみである。しかし、知りながら害をなすことは許されない。プロは自立しなければならない。私的利害ではなく公的利害によって動かされることを自覚してこそ自立が認められる。」
「今日、ルソーの啓蒙主義とフランス革命が自由のルーツのように語られるが、間違いである。あらゆる全体主義がリベラリズムから発している。ルソーからヒトラーまでは真直ぐに系譜を追うことができる。その線上にマルクス、スターリンがいる。彼らの全てが、時代の理性を万能とする理性主義の失敗から生まれた。」
... ピーター・ドラッカー

2017-01-01

十周年企画... 名言集(科学、数学編)

ブログ開設から十年... 惚れっぽい酔っぱらいがここまで続けられれば、もはや奇跡!なんとか週一で更新を続けているものの、ほとんど読書感想文となってしまう。ただ、ネタで困ることはない。一冊の本を読んで感想がない、なんてことはありえないのだから。それは、映画でも、音楽でも、美術品でも、同じことだが、本が相手だとリアルタイム性もなく、のんびり屋には合っている。ましてや、興味のないものに手を出したりはしない。プラトンやアリストテレスたちと饗宴の中で談笑できるのも幸せだ。ただ、こちらの愚痴を聞いてくれないのが、ちと寂しい。
ちなみに、「人生にはいやなことがいっぱいある。中でも一番いやなものは、男同士の晩餐だ。」とは、ベンジャミン・ディズレーリの言葉である。

慣習とは恐ろしいものである。惰性に身を委ねているうちに義務もどきの強迫観念に囚われ、まったりとした駄文を量産する始末。いま過去記事を振り返りながら、読書から得られた名言をざっと拾ってみる。デジタル時代とはなんと便利であろう。新年早々、コピペ時代を謳歌する。要するに、ブログ開設十周年企画とは、手抜き記事であった...

ところで、「名言」とは、どういうものを言うのであろう。丸谷才一は、こう励ましてくれた。
「有名なのが名文か。そうではない。君が読んで感心すればそれが名文である。たとへどのように世評が高く、文学史で褒められていようと、教科書に載っていようと、君が詰まらぬと思つたものは駄文にすぎない。」
一つ付け加えるならば、ストレートな表現よりも、ややスパイスの効いたものがいい。酔いどれ天の邪鬼にとっては。そして、人生の意義をウィリアム・ジェームズの言葉に込める。
「人生は生きるに値するか?それはひとえに肝臓にかかっている。」

さぁ、まずは「科学、数学編」を...

1. 科学

「宇宙について無知であればあるほど、宇宙を説明するのは簡単だ。」... レオン・ブランシュヴィック

「宇宙がなんであるかを知らぬ者は、自分がどこにいるかを知らない。宇宙がなんのために存在しているかを知らぬ者は、自分がなんであるかを知らず、宇宙がなんであるかをも知らない。」... マルクス・アウレーリウス

「神は天地創造以前に何をしていたのか?そういう質問をするあなたのような人間のために、地獄を作っておられたのだ。」... 聖アウグスティヌス

「重要な科学上の革新が、対立する陣営の意見を変えさせることで徐々に達成されるのは稀である。サウロがパウロになるようなことがそうそうあるわけではないのだ。現実に起こることは、対立する人々がしだいに死に絶え、成長しつつある次の世代が初めから新しい考え方に習熟することである。」... マックス・プランク

「どんな科学分野でも、人が初心者であることをやめてその分野の達人となるには、自分は一生初心者のままだと知ったときである。」... ロビン・ジョージ・コリングウッド

「私がこの世に生まれてこなくても不確定性原理は、誰かが定式化したであろう。しかし、ベートーヴェンがこの世に生まれてこなかったら、作品111は誰も書かなかったであろう。」... ヴェルナー・ハイゼンベルク

「神学においては歴史的イエスの考え、哲学においてはヘーゲルのごとき弁証法的発展、生物学においてはダーウィンの進化論、物理学においてはエントロピー原理、これらすべて『一方向向きの時間』を原理とするものである。」... 渡辺慧

「科学者が自然を研究するのは、それが役に立つからではない。科学者が自然を研究するのは、そこに喜びを感じるからであり、そこに喜びを感じるのはそれが美しいからである。もしも自然が美しくなかったなら、それは知るに値しないだろうし、もしも自然が知るに値しなかったら、命は生きるに値しなかったろう。」... アンリ・ポアンカレ

「天秤は、おもりを載せれば必然的に下がらざるをえない。それと同じく、精神は明白な証明には屈せざるを得ない。精神がからっぽで、釣り合い用のおもりがなければ、最初に言われたことの説得力の重みにすぐに負けてしまう。」... ミシェル・ド・モンテーニュ

「進化は生物学の根幹を成すものであり、それによって生物学が新たに発展した理論に基づく科学という位置づけを得たとすると、これは科学なのだろうか、それとも信仰なのだろうか。」... チャールズ・ダーウィン

「信仰心を持たない科学には行き着く先がない、科学的視点を持たない信仰心には見る目がない。」... アルベルト・アインシュタイン

「人はみな極楽の門を開く鍵を与えられているが、その同じ鍵は地獄の門をも開く。」... リチャード・P・ファインマン

「創造主である巨人が死ななければならなかったことから、人間は永遠に苦労するように運命づけられた。」... サイモン・シン

「聖書は天国への行き方を教えるものであって、天の仕組みを教えるものではない。」... ガリレオ・ガリレイ

「天文学の歴史は地平線の後退の歴史である。」... エドウィン・ハッブル

「現代の聖人は、千年前の聖人より神々しい必要がない。現代の芸術家は、ギリシャ初期の芸術家ほどに偉大である必要もない。実際彼らは劣っていそうだ。そしてもちろん、科学者は昔の科学者より知性的である必要はない。しかし一つだけ確かなことは、科学者の知識は次第により広範になり、同時に正確になっていくということだ。確実な知識の取得と体系化は、人間のみが行える行動で、真に蓄積的で日々進歩するものである。」... ジョージ・サートン

「今日でさえ、自然法則の最新版が真実だと思いこんでいる物理学者は多い。過去の試みはおおよそのことしかとらえられなかったけど、今あるものは何の誤りもないのだと。彼らのいうとおりなのかもしれない。だが、歴史を振り返ればそうではないことが垣間見えてくる。」... イアン・スチュアート

2. 数学

「オイラーの等式を見て、自明と感じない人は数学者ではない。」... カール・フリードリヒ・ガウス

「数学者に何を言っても、彼らは自分自身の言葉に書き換える。そしてそれは直ちに何かまったく違ったものになる。」... ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

「数学は精神で構成するものであり、精神の活動を通す以外には、実存性はもちえない。記号、方程式、定理は、数学の内容を伝えるための手段にすぎない。それらのものは命題をなし、それが集まって物語となる。」... ジョセフ・メイザー

「数学の本質は、型を探し、構成と規則性を探し、一見何の関係もないように見えるものの間の関係を探すこと、現実的であろうと抽象的であろうと問題ではない。この意味で芸術とまったく同質である。とくに音楽に近い。音楽では、ある主題の型、リズムの型が繰り返し繰り返し現れるが、それと同じように、ある代数式が数学のいろいろな分野で繰り返し現れる。」... エリ・マオール

「人間の頭脳のもつ最大のパラドックスは、理解することに関しては複雑なことよりも簡単なことの方が分かりやすいが、自分で発想を得ることに関しては、複雑なことよりも簡単なことの方がはるかに難しい。」... 長沼伸一郎

「確率は一部は無知に相対的であり、一部はわれわれの知識に相対的である。」... ピエール=シモン・ラプラス

「ひとつの幾何学が他の幾何学に比べてより正しいということはありえない。どちらが便利かと言えるだけである。」... アンリ・ポアンカレ

3. おまけ

「さて、読者は哲学者と神学者の違いをご存知だろうか?哲学者とは、そこに存在しない黒猫を探すために真っ暗な部屋を覗く人。神学者とは、そこに存在しない黒猫を探すために真っ暗な部屋を覗き、さらにそれを見つける人である。」... レイモンド・スマリヤン

「男は紳士と思われたいのが普通だ。礼儀知らずの野暮な奴と思われたくないし、ことケチと思われるのが一番こわい。女の子達はこれを見抜いているから、思い通りに操られるというわけだ。よって、どんなことがあっても紳士であってはいけない。女の子を頭から軽蔑してかかること。しかも第一のルールは、女の子に決して何も買ってあげてはいけない。」... リチャード・P・ファインマン