2021-09-26

自動車という概念が曖昧になっていく...

Crown Athlete から Crown RS Advance へ王冠の引継ぎを終えた... まではいいが、一通り使えるようにするのに半日がかり!
ドライブレコーダに、CarPlay に、クルージングに、インナーミラーに、パノラマビューに... 自動車という概念が曖昧になっていく。なぁ~に、心配はいらない。仮想化社会では、自由意志ですら曖昧なのだから...

1. いきなり、ドライブレコーダが作動しない!しかし、モノはまぁまぁ...
いきなり、クラウンファーストコールが繋がらなかったが、その呪いか?
モノは、Carmate d'Action 360S DC5001。相性のいい機種が分からなかったので、ディーラ任せ。30 分ほど悩んだ挙げ句、SD カードをフォーマットしたら、すんなり動いた。まさか、特殊フォーマット?いや、ごくたまにフォーマットをしくじって出荷されるメモリを見かけるが、その類いであろう。そういえば、フロッピーディスクの時代は、まずフォーマットするのが当たり前であった...
本体へのアクセスは、取説には、スマホで WiFi 経由か、本体を取り外してパソコンと USB で直接つなぐか、二つのパターンが記載されている。まさか!SD カードを引っこ抜いて直接パソコンで読めない?いや、普通に読める。なにが普通かは知らんが。しかも、.mov 形式のファイルで、メーカ提供の専用ソフトに頼るまでもない。ファイル構成も覗けば分かる。当たり前すぎて、取説に記載するまでもないってことか...
本体の設定にスマホを使うまではいいが、WiFi 転送に時間がかかるし、SD カードを持ち出して直接読む方が実用的だろう。
モノ自体は、なかなか。ドライブレコーダとしてだけでなく、アクションカメラや駐車監視機能もあって、しばらく遊べそう。ただ、標準で 32GB のメモリをつけてくれたが、ちと寂しい。128GB は欲しい...

2. うっかり通知メールでビックリ!
年寄りを乗せたままエアコンをつけっぱなしで薬局に立ち寄ると、「お車への操作忘れなどを検知いたしました!」というメールが送信されてきた。

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下記日時にお車への操作忘れなどを検知いたしました。
検知日時:2021/xx/xx xx:xx:xx
ナンバー *** * ****
クラウンの検知状態
 ドア:閉
◆ドアロック:アンロック
◆パワーウィンドウ:開
 ハザードランプ:消灯
 ヘッドランプ:消灯
 車幅灯:消灯
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スマホの「MyTOYOTA」アプリから通知設定ができ、セキュリティ状況がリアルタイムでモニタできる。但し、T-Connect との連携が必要。
モニタ項目は、こんな感じ...

  • 車の現在位置, 走行可能距離, ガソリン残量, 燃費, ドライブ診断
  • セキュリティ... ドアのロック, ドアの開閉状態, パワーウィンドウ, ハザードランプ, ヘッドランプ, 車幅灯, ボンネット(閉じてます), キー(車外にあります), オートアラーム(作動中), 侵入センサ(作動中)
  • ヘルスチェック... 警告灯, 電子キーの電池残量, エンジンオイルの量, ブレーキオイルの量
  • Toyota Safety Sence の状態... 自動ブレーキ, 車線はみ出し, 自動ハイビーム, 追従ドライブ支援機能

3. クラウンのナビシステムに、ようやく Apple CarPlay/Android Auto が搭載!
Athlete のナビシステムは時代遅れ感があったが、RS Advance はそうでもない。ディスプレイの横幅が広くなったのがいい。いや、Athlete の縦配置が、横配置になっただけか。左右の配置は入れ替えられるけど。どうせならマップなどを全面表示できるようにすればいいのに...
Toyota SmartDeviceLink も軽く試してみたが、うん~微妙...

さて、期待していた CarPlay だが、YouTube のような動画系アプリが対応していない。運転の支障になるからであろう。iPhone 側で YouTube を再生すれば音楽は聴けるけど、うん~...
実は、車内の音空間に YouTube の自動再生機能を期待していた。
ちなみに、関東地方には、J-WAVE という音楽垂れ流しの FM 局があり重宝した時代もあったが、九州にそんなものはない。
YouTube はというと、例えば、"you raise me up" といったキーワードで検索すれば、関連曲を勝手に垂れ流してくれるし、選曲の精度もまぁまぁ。今、ハマっているキーワードは、Celtic Woman に、The 12 Tenors に、The Piano Guys に... そして、Peter Bence & Peter Buka の魅惑的な着想に翻弄され、Simply Three にシンプルに生きようという意欲を掻き立てられ、裸足で熱唱する Adele に生きる力を注入され... こうした音空間はドライブ環境にもってこい!
尚、音楽以外のジャンルに興味はないし、広告は、AdBlock!

運転支援という観点から眺めると、画像系はやや縛られ感ありだが、自動運転レベルが上がれば、解消されていくだろう。
セキュリティ面やメンテナンスの側面から眺めると、拡張性を感じさせる。
しかし、なんでもスマホでコントロールできるという流れは、どうであろう。どちらがコントロールされているのやら?もはや、自動車という概念もぶっ飛びそう... 自動車免許証という概念も... 自動車メーカという概念も... そして、総合的な知識がなければ息苦しくなっていきそうな... サポートする側も、される側も...

2021-09-19

王冠の引継ぎ... 納車ルームで納車式!?

いつかはクラウン... と謳われた看板車も、あっという間に売れなくなったらしい。福岡ではよく見かけるけど...
SUV へ移行とも噂されるが、生産終了と聞けば、なんとなく縁を感じる。25年前になろうか、MR2 の生産終了が報じられてディーラに駆け込んだ記憶が蘇る。MR2 は名車であった。実に名車であった。


おいらは、クラウンに執着しているわけではない。そもそもセダンが好きなわけでもなく、介護用に妥協しているだけのこと。本当はロードスターが欲しいのだけど、そうもいかない。
ただ、この手の車で FR がなくなっていくのは、ちと寂しい。確かに、セダンに FR レイアウトは不向きかもしれん。プロペラシャフトがエンジンから後輪へ突き抜けるので、後部座席の中央部が盛り上がり、足元の空間を狭める。
だからといって、FF 化すればカムリとかぶる。レクサスとの共存も難しいのだろうが、おいらはデザインでクラウンを選ぶ。ブランド価値に興味はないし、庶民カーらしく割引の相談もしやすい。
とはいえ、アクアやらヤリスやら、似たような車種をたくさん生み出しているではないか。売れないからといってスポーツカーを作らなければ、真の車好きが離れていく。それで、86 の復活?いや、BRZ だ。
どうせ受注生産だし、生産効率性でそんなに足枷になるのだろうか。人気を博す必要があるとも思えんが、この多様化の時代に...


さて、レクサスには納車式なるものがあると聞く。庶民化したクラウンにそんなものはないが、付き合いの長いディーラが改装され、納車ルームなるものができたらしい。そこで、Crown Athlete から Crown RS Advance へ、王冠の引継ぎといこう。
ちなみに、Athlete は、購入した翌日に、年寄りがウンコ漏らし、新車の香りが台無しであった。後部座席の座り心地が、よほど良かったと見える。RS Advance は、皮シートでさらに心地よさそうなので、要警戒!



1. いきなり、呪われたか?
いきなり、クラウンファーストコールとやらが繋がらない。クラウンオーナーをお迎えするために何か喋ってくれるらしいが、接続をやり直してください!って。しかも、エンジンボタンを押す度にメッセージが表示され、鬱陶しい!
DCM で通信しているが、コールセンターが混んでいるのか?システムがダウンしているのか?どうでもええから、こいつを黙らせてくれぃ!
とりあえず持ち帰って、CarPlay やドライブレコーダなどを設定していると、夜七時頃、突然喋りだした。設定に夢中で何を喋ったかは、記憶にごじゃいましぇん!
それにしても、接続できないことを想定していない、実に気の利いた、実に余計な演出であった。営業マンとは、20年来の付き合いだが、二人して笑うしかない...


2. ネアンデルタール人には、他の車は運転できましぇん!
運転支援システムからの情報が多く、頭はすでに Kernel Panic !
ただ、人間ってやつは贅沢なもので、すぐに慣れちまい、逆に頼りきってしまう。もう、他の車は怖くて運転できそうにない。自動運転レベルが、3 以上にもなると、おそらく自動車という概念までもぶっ飛んでしまうのだろう。
しかし、人間ってやつは、危険を察知できるから進化してきたのであって、それがなくなると、どうなるのだろう。なぁ~に、心配はいらない。別の危険をこしらえ、新たなリスクを生み出すだけのこと...


・まず、サイドブレーキがない!
いや、あるにはあるのだけど、シフトレバーをパーキングに入れたら自動でかかる。シフトレバーの側に電子式ボタンがあって、手動でブレーキホールドができる。電動パーキングブレーキと呼ぶらしい。
ちなみに、ブレーキとアクセルを踏み間違えるといった事故をよく耳にするようになったが、人間工学的に左足の適切なポジションが右足の動きを先導するところがある。クラッチ操作が当たり前の時代に聞かれなかったのは、そのためかと。いや、間違ってアクセルを踏んでも、クラッチの保険付きだったという見方もできるか。
さらにちなみに、パソコンでキーボードの打ち間違いが多い時は姿勢が悪いせいで、けして、アルコールのせいではない!なので、オフィスチェアにバケットシートは理に適っていると思う...


・ヘッドアップ・ディスプレイは、もはやゲーム感覚!
フロントガラスに、速度計や車線からのはみ出し警告、さらに制限速度などの道路標識をカメラで認識して表示してくれる。慣れてくると、もっと派手なに情報が欲しくなり、コックピット気分を求めてしまう。


・デジタルインナーミラーは、ちょいと見え過ぎ感があり!
バックミラーに後方カメラの画像情報を表示し、明るさの調整もでき、後方視界が広がる。雨の日は、ちょいとカメラが曇る場合があるが、すぐに解消されるのは、曇り止めの機能でもあるのだろうか。ただ、後ろの車が近くに見えて、やや煽られ感あり。ズーム機能もあって一番遠くに設定しているが、それでも...
ちなみに、バックミラーは自動車の後方を見るためだけでなく、実は、後部座席の年寄りの状況を確認する意味もあったが、この際、年寄りから解放してくれる介護者支援機能としておこう...


・パノラマビューモニターは、下界を見下ろし気分!
周囲のカメラ画像を合成して、上空から自動車を見下ろした映像を作り出している。駐車場の停車位置や、レーンの左右どちらかに寄っているかなどの情報が役に立つ。
見通しの悪い交差点では、前方視界を広角に映し出し、恐る恐る頭を出しながら左右の安全確認をするといった手間がいらない。
ただ、オートモードにしていると、停車するたびに機能が作動し、信号待ちで前方画像に切り替わるのが鬱陶しい。


・パドルシフトは、いらないと思っていたが...
パドルシフトは、スポーツモード時しか作動しないと思っていたが、通常のドライブモードでも作動してくれる。オートマチック車で、ずっと気になっていたのがシフトダウンである。例えば、高速道路から降りてきた時にエンジンブレーキの効きが悪い。これを、手動でやれるのはありがたい。


・バック中に障害物を検知して勝手に停止する、まではいいが...
一旦、障害物を検知して停止すると、その解除に遅延がある場合がある。目視で安全確認し、さらにバックしようとするとアクセルが効かず、つい強く踏んでしまいそう。焦らず、ゆっくりやれば解除されるが、知らないと、これ以上バックできないと思い込んでしまう。
そういえば、時々スーパーの駐車場で頭を出したまま駐車している高級車を見かける。他の車がひっかけそうになったり、歩行者がぶつかりそうになったり。何かを検知して、これ以上バックできないと思って、そのまま放置しているのかもしれない。
ちなみに、自宅の駐車場でバックすると、よく人体を検知したと警告される。ちょいと伸びきった雑草にでも反応しているのか?誰もいないはずだが、いや、幽霊でも立っているのか。日本の幽霊は足がないと聞くが...


・やたらと警告音あり!オオカミ少年症候群になりそう...
BSM(ブラインド・スポット・モニタ)のような機能は、いまや当たり前のように付いている。そういえば、他の車でバックミラーにオレンジランプが点灯するのを見かけてはなんだろうと思っていたが、こいつかぁ...
慣れない警告音では、信号待ちで前の車に続いて停車していると、ナビ操作をしていたら先行車発進のお知らせアラームでドキッ!
レーンのはみ出し警告などでアラームが鳴るのはいいが、あまり多いのはどうであろう...


3. スマートキーに未だ違和感あり!
ずっと前から思っていることだが、おいらは、スマートキーに違和感をもつネアンデルタール人だ。
まず、せっかくロックしたのに、年寄りがドアノブを握って確認しようとする。キーを持っている運転手が近くにいると、解除されるっちゅうの...
同じ原理で、持ち主がロックして離れようとした時に、こっそり車の影から忍び寄ってドアノブを握れば... なんとも恐ろしい!
また、自宅の二階からスマートキーのロック解除ボタンを試しに押すと、ベランダから下を覗いたらロックが解除された。なんとも恐ろしい!
一昔前の感覚では、玄関先に車のキーを置く家をよく見かけたが、駐車場が近くにあると、キーの意味をなさない。
まさか!とは思うが、電波中継器を置くだけで買い物などで遠くに離れていたとしても、ロックが解除できたりして。電波ってやつは、その物理特性上、増幅器を噛ませば、いくらでも飛ばせる。地球の裏側だって。このデジタル時代に、そのぐらいのセキュリティ対策はやってくれているだろうけど、なんとも恐ろしい!
さすがに、スマートキーが車内にないとエンジンはかからないが、中継器をうまく設置して、電波を車内から飛ばしているように偽装することもできそうな。なんとも恐ろしい!
利便性ってやつは、構造的な仕組みを理解した上で利用しなければ仇となる、諸刃の剣か...

2021-09-12

自動車ナンバーは安全素数... 人生ロードは割り切れない!

希望ナンバー制度を利用して、名前の語呂合わせで番号を選んできた。それは、テトラクテュスにあやかった数で縁起がええ。
しかし、ちと目立つ。おいらは、人見知りの激しい恥ずかしがり屋なのだ。周りは信じてくれないけど。車の買い替えにあたり、ナンバーを変えることに...


では、どんな数にするか。ちょいと控え目でエレガントな数といえば、素数あたりはどうか。素数とは、自分自身以外の数では割れない数を言う。人生という長い道のりでは、割り切れない事ばかり。
そこで、暗号理論に「安全素数」という概念がある。安全運転に掛けて... ダジャレ癖は、もはや老害よ!


暗号アルゴリズムの基本的な考え方は、データを素数の積で表記して符号化する。それは、因数分解に用いる素数を見つけることが困難であることを利用している。素数が暗号キーになるという寸法よ。
例えば、インターネットで普及した RSA 暗号は、桁数の大きい合成数の素因数分解が困難であることを拠り所にしている。困難といっても、不可能ではない。桁数が大きいほど困難になるわけだが、RSA 暗号は時代とともに桁数を増やし、いまや 300 桁を超え、スーパーコンピュータでも解読に一億年かかるとも言われている。この安全神話も、量子コンピュータの登場で崩壊しつつあるけど...


素数が無限に存在することは、「ユークリッド原論」にエレガントな証明が記される。中でも、とびっきり解読が難しいとされるのが、「安全素数」ってヤツだ。それは、ある数 p と 2p + 1 が共に素数の時、2p + 1 を言う。ちなみに、p の方はソフィー・ジェルマン素数と呼ばれ、ガウスが数学の才に惚れ込んだとされる女性の名を掲げている。実際のところ何に惚れ込んだかは知らんが...
それはともかく、自動車ナンバーに登録できる数は、たかだか 4 桁。これを安全と呼ぶにはおこがましいけど...


さて、どの安全素数にするか。登録可能な選択肢は、115個もある。とびっきりのとびっきり、スーパー素数か。偉大な数学者にあやかってオイラー素数か。ガウスが惚れ込んだソフィーか。ハッピー数ってのもある。
いや、ここは人類の最も偉大な感性に委ねるとしよう。そう、気まぐれってやつに。安全素数に気まぐれを掛ければ、永遠に解読不可能となろう...

2021-09-05

"アート・オブ・アジャイルデベロップメント" James Shore, Shane Warden 著

オライリー君のシリーズで、つい手を出してしまうヤツがある。アート・シリーズがそれだ。技術に芸術を見、取り組みは泥臭くても成果物は美しくありたい。そんなことを、ぼんやりと考えながら...
しかし、芸術の道は険しい。芸術的に生きることは、さらに難しい...


さて、ソフトウェア開発でよく耳にする「アジャイル」という言葉。おいらは、こいつをマネジメント用語と解している。ソフトウェアに特化したものではなく、あらゆる開発現場で参考にできると。ちなみに、おいらはプログラマでもなければ、ソフトウェア業界の人間でもない。
アジャイルを実践する!と声高にアピールする人を見かけるが、本当に実践している人たちは、そのような用語をあまり使っていないように見える。自然体でいるような。オブジェクト指向という用語にも、似たような感覚が見て取れる。無意識に実践しているような。アジャイルチームの特徴は、自己組織性にあるという。自主的で自立的であれば、用語に振り回されることはないだろう。ましてや流行語に...


「『アジャイルになる』というのは何を意味するのか?この質問の答えは、思った以上に複雑だ。アジャイル開発は特定のプロセスに従えばよいというものではない。アジャイル手法を実践しているチームというものはない。そういうものじゃないんだ。アジャイル開発とは理念だ。ソフトウェア開発についての考え方なんだ。」


副題には、「組織を成功に導くエクストリームプログラミング」とある。ここでは、アジャイル開発における手法の一つとして、XP(エクストリームプログラミング)を中心の据えている。それは、短期間で頻繁にリリースすることを推奨するもので、具体的には、リファクタリング、コードレビュー、ペアプログラミングといった手法が紹介される。
ただ、新しい文化を取り入れるには時間がかかる。数ヶ月ぐらいの覚悟がいる。それでも取り入れる価値があるかどうか。プロマネは、いつもそんなことを考えながら仕事をしている。改善においては、貪欲でありたいと。その道のメンターがいるとありがたいが、現実には難しいので、自らメンターを演じようと...
そして、アジャイル文化は、極めて民主主義的で、自由精神の体現にも見えてくる。ファシズムの時代には、民主主義を統一を欠いた社会、自由精神を道徳の退廃と吹聴されたが、現在では民主主義が連呼される。価値観なんてものは、何を転機に逆転するか分からない。
チームの運営では、個性は統一を欠く要因とされがちだが、個性がチームとなった時の能力は計り知れない。なにより仕事をやっている連中が楽しんでやがる。マネジメントで深刻なのは、技術の問題よりも人間の問題だ。そのための第一目標は、やりがいのある仕事を提供すること、そしてプロマネ自身が楽しむこと、顧客も巻き込んで...


「変化が人を不快にするというのはまぎれもない事実だ。XP はチームにとって大きな変化だろう。もしこれまで融通の利かないドキュメント中心のプロセスを使っているなら、XP は形式的でなく、だらしなく見えるだろう。」


1. アジャイルマニフェスト... 価値と原則
アジャイルの価値は、4つ...

  • プロセスやツールよりも、人と人との交流を。
  • 包括的なドキュメントよりも、動作するソフトウェアを。
  • 契約上の交渉よりも、顧客との協調を。
  • 計画に従うよりも、変化への適応を。

これを支える原則は、ざっとこんな感じ...
  • 最優先事項は顧客を満足させること。
  • 実働可能なソフトウェアの納品を頻繁に行う。実働するソフトウェアこそが進捗状況の尺度。
  • 持続できるペースで開発する。
  • 高度な技術と優れた設計への配慮は、アジャイル性を高める。
  • シンプルさが肝心、やらなくていいことはしない。
  • 最高のアーキテクチャ、仕様要求、設計は自己管理能力のあるチームから生まれる。

マネジメント論で耳にタコができるほど聞かされるのが、最優先すべきは顧客の満足度!ここで言う顧客とは、依頼元である。つまり、スポンサー。
しかし、おいらは、顧客という言葉にしばしば疑問を抱く。顧客であるはずの依頼元が、本当の意味で要求を理解していないことがよくある。ユーザの立場になって逆提案をすれば、要求仕様は自分で書くことに。結局、顧客とは、エンドユーザか。それで依頼元を満足させられれば、同じことだけど。
そして、開発途上で状況が変われば、気も変わる。おいらは、仕様変更の生じない開発プロジェクトに出会ったことがない。アジャイルプロセスでは、変化に対応することで顧客の競争上の優位性を確保するという。
また、実働するソフトウェアを頻繁に提供するということは、必然的にテスト駆動開発(TDD)が重視される。そして、開発メンバーの意欲にも配慮したい。品質を落とすような命令は技術屋の気分を萎えさせる。技術的卓越は重要な動機だ。たゆまぬ鍛錬こそが、道を極めるということを...


2. ドキュメント主義からの脱皮
ドキュメントが重要であるという価値観は、今も変わらない。おいらはネアンデルタール人なのだ。
しかし、だ。ドキュメントは、常に最新版に保守されていなければ使い物にならない。それには手間もかかる。それでも、必要ならやるべき。そこで、本当に必要なドキュメントとは何か?これをずっと問い続けてきた。ドキュメント化することで効率化を図れる部分もあれば、無駄を助長する部分もある。
近年のプログラミング言語は、アセンブラ言語の時代とは違い、コードを見れば何をやっているか、何をやるべきかが分かる。うまく構造化され、綺麗なコードであれば。コードの変更にドキュメントの変更が引きずられるなら、何をやっているのやら。一対一で完全に対応している保証は、どこにもない。ドキュメントが仕様の神様にならなければ、悪魔になるだけのこと...


「ドキュメントという言葉にはいろいろな意味がある。エンドユーザ向けに書かれたマニュアルや、詳細な仕様書、APIとその使い方の説明書を意味することもある。いずれによせ、これらはすべて、コミュニケーションの一つの形だ。それが共通点だ... ドキュメントの量を減らすのにリスクは、もちろんある。ドキュメントを減らすためには、別の形のコミュニケーションに置き換える必要がある。それこそ XP がやっているこなんだ。」