2024-07-14

"Visualizing Data - Processing による情報視覚化手法" Ben Fry 著

グラフィック用のプログラミング言語 "Processing" ってやつが、ずっと気になっていた。データをビジュアルに表現するのに、Ruby や Python、あるいは JavaScript や Gnuplot そして画像フォーマットなどを駆使し、ちと行き詰まり感が漂う今日このごろ。Graphviz もかじったりと... 本書でも触れられ、ちとうれしい!

本書は、Processing の言語入門書といったところ。当初、この言語は芸術家やデザイナ向けの Java 拡張として開発されたそうな。今では、本格的なデザインツールならびにプロトタイピングツールとして利用されているとか。
Java ベースというのは個人的にはちと抵抗のあるところだが、RubyGems にも rubysketch ってやつがあって、"A game engine based on the Processing API." とある。
尚、増井俊之監訳, 加藤慶彦訳版(オライリー・ジャパン)を手に取る。

大勢で大量のデータと向かい合う情報過多の時代、データ収集の方法は思いっきり進んでも、それを分析し、それを利用するとなると遅れをとる。いくらデータを集めたところで満足のいく答えが得られるわけもなく、むしろ弊害に。単に集めただけのデータは漏洩した途端に悪用され、これほどタチの悪いものはない。
本書は、まずデータの理解に目を向け、そこに至る七つのプロセスを提示する。収集、解析、フィルタリング、マイニング、表現、精緻化、インタラクションと...

「優れた問いを発することは、データを理解する上で最も重要なスキルの一つです。... もちろん、問いを過度に狭く定義することはやめて柔軟に利用できるようにしたいデータセットもあるでしょう。ただしその場合でも、重要な発見を強調することに目標を置くべきです。」

本書は、地理情報、時系列データ、散布図、ツリー構造や階層構造といったものを事例に、具体的なコードを紹介してくれる。全般的に対話的手法が掲載され、興味を引くところでは、map() などのメソッド群、タブ表示、タイポグラフィ、あるいは、Eclipse といったところ。付録には、ActionScript の使い方まで掲載されるが、まぁ、これはいいやぁ...

しかしながら、いくら言語を習得しても、いくらコードの書き方を会得しても、ビジュアライジングに演出するには芸術的なセンスが問われる。
ベンジャミン・フライは、コンピュータサイエンス、統計学、データマイニング、グラフィックデザインなど、様々な分野の洞察力が必要だとしている。
ちなみに、ガウディは、建築はあらゆる芸術空間の総合であり、建築家のみが総合的芸術作品を完成することができるとし、自ら画家、音楽家、彫刻家、家具師、金物製造師、都市計画家を演じてみせた。ビジュアライジングにも、建築家のような空間センスが必要なのであろう。
そして、普段から芸術を嗜み、美術に親しみ、動画や映画の演出に触れ、多くのデータと戯れ、多角的に視覚センスを鍛えておかねば。おそらく最も重要なセンスは、調和ということになろうか。
ここでは、芸術家でありながらプログラマでもある人材を求め、宮大工のような調和センスを要請してくる。なんと酷な!

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