「ビジョナリー・カンパニー」シリーズに出会ったのは、二十年以上前になろうか。「時代を超える生存の原則」、「飛躍の法則」、「自分の意志で...」と、いまだ本棚の隅っこで存在感を示してやがる。さすがに再読する気にはなれないが、ゼロを目にすれば回帰せずにはいられない。
相変わらず、教訓めいたフレーズのオンパレード!今更感が漂いつつも、またもやジム・コリンズにしてやられる...
尚、土方奈美訳版(日経BP)を手に取る。
「価値観から始まり、常に価値観に立ち戻る。」
「偉大な企業という目的地があるわけではない。ひたすら成長と改善を積み重ねていく、長く困難で苦しい道のりだ。」
「企業が追跡すべきもっとも重要な指標は、売上高や利益、資本収益率やキャッシュフローではない。」
「正しい事業のアイデアより、正しい人材のほうがはるかに重要だ。」
「リーダーシップとは、サイエンス(理屈)ではなくアート(技能)だ。」
「起業家の成功は『何をするか』ではなく、『何者であるか』によって決まる。」
副題に「ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる」とある。
しかし、だ。力量の遠く及ばない凡人がビジネス上の大成功物語を夢見ても詮無きこと。そもそも、ゼロから始める必要もなければ、偉大になりたいわけでもない。
それでも、自分が大切なものを知らないまま生きているのではないか、という不安感を少しばかり鎮めてくれる。自分の生き方に誇りを持ち、最期に有意義な人生であったと思えれば、それが幸せというものか。ビジネスがギャンブルなら、人生もまたギャンブル!それで、自分の価値観や世界観は人生を賭けるに値するか、などと自問してりゃ世話ない...
「根本的問いは『あなたが達成しようとしているビジョンは何か』だ。」
... 心理学者アブラハム・マズロー
ところで、企業の意義とはなんであろう。そこに所属する意義とはなんであろう。生活費のためというのは避けられない。だが、それだけでは寂しい。古代の叙事詩人ヘーシオドスが唱えたように仕事は人生と直結する。
そして企業は、人生観を体現する場ともなりうる。にもかかわらず、経済学者や金融アナリストたちは、効用最大化といった概念を崇めすぎる感がある。
本書はまず、人生哲学における価値観やビジョンといったものを掲げる。逆に言えば、価値観やビジョンに共感できなければ、関係を持つ意味を失うことになる。しかも、成長が良いものとは限らない。現実に、急成長が後に望ましくない結果を生み出すこともある。永続的であろうとすれば、問題とすべきは成長の中身!こうした視点は、このレトロな書が今更感を吹っ飛ばしてくれる...
「大多数の人は良い仕事をしたいと思っている。誇りを持てる事業に参画したいと願っている。困難な仕事に挑戦し、自分の力を証明する機会を欲しがっている。仲間に頼りにされれば、応えようとする。敬意をもって扱われれば、並外れた仕事をやってのける。」
「企業を利益という観点から定義すると、説明することはできない。(中略)利益最大化という概念は実のところ、無意味である。(中略)企業を評価する第一の指標は、利益を最大化しているか否かではなく、経済活動のリスクをカバーするのに十分な利益を生み出しているかだ。」
... ピーター・F・ドラッカー
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