次元大介の秘密は、早撃ち0.3秒のプロフェッショナル、その境界条件は、帽子がゾウアザラシのオス四歳の腹の皮製でなければならないことである。
さて、言わずと知れた超難解な超ひも理論。これを一般向けに解説するにはどうすればいいか?そんな試みをしてくれる、ありがたい書がある。分かった気になれるということが、どれだけ幸せなことか。知識ってやつは、具えた度量の範疇で身に付ける分にはすこぶる心地良い存在だが、精神次元を超えた途端に面倒な存在となる。分かりやすくすれば、厳密性をある程度犠牲にせざるを得ない。時には、暗黙で了解することも必要であろう。これを抽象化と言うかは知らん。
真理を探求するには、こちらから高みにのぼっていくしかあるまい。だが、いくらのぼっても頂点が見えてこない。それどころか、一つ疑問を解決する度に続々と疑問が湧いてきやがる。知識はエントロピーな状況にあるのか?何事も、解釈することができても、永遠に理解することはできないということか...
本書は、次元の概念を「自然単位系」と「Dブレーン」という切り口から迫る。ひもとは何か?宇宙の構成要素の最小単位に迫ろうとすれば、素粒子なるものにぶち当たる。素粒子がどこまで素粒子なのかは知らん。ただ今のところ、ボソン(ボース粒子)とフェルミオン(フェルミ粒子)とに種別される。ボソンには、ゲージ粒子がある。ゲージ粒子とは、電磁場における座標変換...それも回転変換が重要のようだが、時空変換とでもしておこうか...その変換系において対称性を示すようなものらしい。対称性とは、ある変換系を通しても基本的な性質が変わらないこと。具体的には、光子、弱い力を伝えるウィークボソン、原子核を作っているクォークを結びつけるグルーオン、重力を伝えるグラヴィトン(重力子)がある。一方、フェルミオンには、電子やクォークなどがある。物理学は、これら素粒子を扱う量子論と、運動の相対論との間で矛盾が生じることに悩まされてきた。そこで、ひもの特性から5次元以上の空間を仮定すると、素粒子と電磁場の関係が自然に説明できるとされる。
本書は、ボソンを力の素、フェルミオンを物質の素として、性質の違いを説明してくれる。しかも、対称性の中でも飛び切りの「超対称性」ってやつが、ボソンとフェルミオンの相互関係の入替えまで起こすという。力の素とはなんとも曖昧な用語だが、ニュートンは力を質量と加速度の体系で、運動の存在論として記述した。物質の素とは、ある種のポテンシャルと考えていいだろう。ただ、電磁ポテンシャルの本質に迫ろうとすると頭が痛い。
物質の存在を強烈に印象づけるものに質量があるが、アインシュタインは質量をエネルギーに転化した。さらに量子の存在は、エネルギーを運動とポテンシャルの体系で定義される。そして、素粒子のエネルギーの根源を突き詰めていくと、その正体がひもの振動であることに行き着く。それは、ギターの弦のように腹と節が生じるような運動を想定すればいいだろう。腹と節が境界条件として重要な意味を持ち、ひもの端点が固定される場合が「ディリクレ条件」とされる。
さて、人間の存在論も、肩書きや権威といった重みから、能力や意欲といったエネルギーに転化されてきた。そして今、何かに依存しなければ生きてはいけないことに気づき始めている。その何かとは、ひもであったか。男性諸君は皆、ひもになるのを夢見る。右へ左へと心が揺れ動き、孕(腹)ませると節目へ逃げる、ということを繰り返しながら...
ここで注目したい概念に、キス数によって決まる安定な次元数というものがある。同時に何人とキスできるか?もっとも、単位球が同時に何個くっつくことができるか、という幾何学の問題である。2次元であれば、真ん中の円に6個の円がくっつくので、キス数は6となる。平面では正六角形の格子点で安定するわけだ。3次元になると意外と難しい。12個まではくっつくが、13個目となると微妙で、うまいこと摩り替わる。
さて、次の安定状態は、8(= 10 - 2) と、24(= 26 - 2) になるという。接する相手が安定するとは、エネルギー的には自由度を示すことになるらしい。相手が固定されると不自由を感じそうなものだが。そして、超ひもの自由度は8次元、ボソンひもの自由度は24次元になるとしている。格子的な安定次元で言えば、10次元と26次元ということになるのだが、それぞれ -2 されるのは、ひもは時間方向と縦方向に振動できないからだという。
尚、振動現象には横波と縦波がある。例えば、電磁波は横波、音波は縦波、地震波は両方。仮に光子が縦波であれば、一時的に光速を超えて、こりゃまずい!なので、電磁波の振動方向である偏光は、進行方向に対して直角になる。
話を戻すと、宇宙が10次元と26次元に存在する素粒子で構成されると仮定すれば、宇宙空間が自然に説明できるという。Dブレーンとは、ディリクレ面を意味し、各次元の境界条件がディリクレ条件になるということのようだ。
しかし、だ。次元が安定する必要があるのだろうか?次元は本当に離散的な存在なのだろうか?実は、次元そのものが、丸い!ってことはないのだろうか?フラクタル次元は、もはや整数の枠に留まらない。人は思考レベルが違うと「次元が違う」なんて言い方をするが、年齢を重ねると「心が丸くなる」なんて言い方もする。日々虚しさが過ぎるのを眺めれば、虚時間や無境界仮説を信じたくもなる。それでも、次元が多いと幸せになれそうな気がする。電磁場では乱数的に吸い寄せられる素粒子群が、夜の社交場では乱交的に吸い寄せられる小悪魔群へと転化される。これも、場におけるゲージ変換系に加えておこう。
したがって、次元数はキスのテクニックで決まるのよ。キスの修行を無限に励めば、次元も角が取れて丸くなるに違いない。やはり、空間の本質はハーレムにあったか... おっと!いつの間にか幸福論を語っている。超難解なものを分かりやすく記述しようとすれば、男の美学に近づき、ひも屋の独り善がり論となる。
1. 単位系の意義
ニュートン力学では重力定数 G が、量子力学ではディラック定数 ℏ が、相対性理論では光速 c が、それぞれ基準とされる。どこまでを自然単位系と呼ぶかは、世界によっても多少違う。ひも屋は、ディラック定数 ℏ と光速 c を 1 とする自然単位系を使い、重力定数 G は残しておいた方が良いことが多いという。
しかし、いくら重力定数、プランク定数、ボルツマン定数、光速といった基準を設けたところで、宇宙は時間とともに膨張を続けている。よって、あらゆる基準や定数は、時間の関数となるはず。宇宙構造の最小単位が超ひもであるなら、どんな物理量も超ひもに内在するエネルギーで換算できるかもしれない。プランク長 lp は、自然界の3つの基本定数を組み合わせて作った、最小長さの次元を持つ数値だという。
lp = √(ℏG/c3) ≈ 1.6 x 10-35 m
単位系の意義は、何を 1 として基準にするかにある。こうした発想は、相対的な認識能力しか持てない知的生命体の悪あがきであろうか。一般に親しまれる MKSA単位系にしても、すべての定数を解体すると、とてつもない数値になる。そもそも 1秒って、どうな数値なのか?プランク長で換算すると...やーめた!光速 c = 2.99792... x 108 m/s2 にしても、ディラック定数を 1 とした結果である。ちなみに、ディラック定数 ℏ(エイチバー)とは、プランク定数 h を 2π で割ったもので、π が介在することで量子スピンの周期性を表している。
さて、単位系を再定義してみよう。重力定数をちょいと変えてやるだけで、多くの女性たちが救われるだろう。アルコール濃度を酔っ払い度で換算すれば、酒税効率が上がるだろう。これが単位系の意義というものよ。
2. ディラックの巨大数仮説
興味深い二つのオーダーを紹介してくれる。
e2/(cℏ) ≈ 1/137 : 微細構造定数
e2/(Gmemp) ≈ 2 x 1039 : 電磁力と重力の比
me は電子の質量、mp は陽子の質量。上式は、10-2 オーダーだが、下式に比べてほぼ 1 と捉える。下式は、1040 オーダーとして眺める。そして、物理学の基本定数や素粒子の質量などを使って無次元の量を作ると、驚くことに!すべて 1 か 1040 のオーダーになるという。これが、ポール・ディラックの巨大数仮説というものだそうな。ディラックは、光が電子を横切る時間で宇宙年齢を換算したという。
例えば...
宇宙年齢は、137億年とされる。つまり、約 1010 年オーダー。
電子の大きさは、e2/(mec2) = 2.81794 x 10-15 m。
これを光速で割ると、e2/(mec3) = 9.39963 x 10-24 s。
さらに、1010 年を秒換算して、光が電子を横切る時間で割ると、
(1010 x 365 x 24 x 60 x 60 s) / (9.39963 x 10-24 s) = 3.3503 x 1040
なるほど、1040 オーダーが出現する。つまり、重力定数が時間に反比例するというのだ。
e2/(Gmemp) ∝ t
確かに、空間が変化するのなら、質量が一定とは考えにくい。ディラックの論文の要旨をまとめると、こんな感じになるらしい。
「宇宙の年齢は当然のことながら時間 t に比例して増える。その無次元の大きさは 1040 程度である。電子と陽子の間に働くクーロン力と重力の比も 1040 程度である。この二つの無次元量は、ほとんど同じなので、簡単な関数関係にあると考えるのが妥当である。仮に、この2つの量が等しいと考えると、重力定数は時間 t に反比例するという結論が導かれる。」
3. カルーツァ=クライン理論
ニュートン力学では、ポテンシャルを微分すると力が現われる。電磁気では、電磁ポテンシャルを微分すると電場 E や磁場 B が現われる。
E = - ∂A/∂t - ∇φ
B = ∇ ☓ A
A はベクトルポテンシャル、φ はスカラーポテンシャル。
電磁気学の本質は、ポテンシャルのゲージ変換によって、マクスウェル方程式が不変であることだという。電磁ポテンシャルを4次元で考えると、微分して得られる電場や磁場は3次元空間になる。つまり、時間の次元を考慮しなければ、電磁場は平面上に幽閉されるわけだ。そして、0次元の点を円の次元に昇格させて、次元数を一つ増やすと、電磁場の空間をうまいこと説明できそうか。
仮に、物質の根源が超ひもの振動だとすると、ほとんど永久的に振動できるほどのエネルギーが放出されることになろう。そこで、5つ目の次元が円軌道のようなエネルギー状態であれば、普段は相殺しあって、その存在にも気づかないかもしれない。
アインシュタインの4次元空間に円筒の次元を加えて5次元にすることで、電磁気学と相対性理論の統一を図ろうとしたのが、カルーツァ=クライン理論というものらしい。要するに、次のように見なすということだが、まさに巡回群である。
x4 ≡ x4 + 2πr
そうなると、素粒子の自由度を増やすには、5次元と言わず、エネルギー状態が円を形成するような次元をどんどん増やせばよいことになりそうだ。宇宙空間の本質は、振動や周期性にあるのか?そして、真空中にも何かが存在するというのか?
4. ひもの境界条件
ひもの物理的な構造は、無限小のバネの数珠つなぎになったような状態をイメージすればいいようだ。
とはいえ、開いたひもは一次元なのだから端点があり、それが腹か節かで様子が変わってくる。腹であれば自由端となり、これを「ノイマン条件」、節であれば固定端となり、これを「ディリクレ条件」と呼ぶそうな。昔は自由端だけを想定したそうだが、現在では固定端でもいいことが分かっているという。尚、古典的なひも理論では、質量密度が一定で、張力も一定にするという。超ひも理論では、質量密度を一定にしないところが違うらしい。質量密度が、点の伸び率に比例するとか。
そして、張力 T から、ひもの長さ ls は、次のようになるという。
ls = 1/√(2πT)
さらに、プランク長 lp との関係は次のようになるという。
ls8 = e2φlp8
φはディラトンと呼ばれる素粒子。添字の8(= 10 - 2)は、超ひもの10次元を示す。尚、eφ は電荷に相当するもので、ひもの「結合定数」と呼ぶそうな。
結合の強弱の交換 eφ ⇔ 1/eφ は、φ ⇔ -φ と同義になるらしい。強弱の交換を「S双対性」、大小の交換を「T双対性」、双方を混ぜたものを「U双対性」と呼ぶそうな。ひも理論では、エネルギーの強弱交換や、スケールの大小交換などを組み合わせて、対称性を見出すことが鍵となりそうか。
さて、ここでは指数関数にディラトンが現われるのがミソのようである。つまり、指数関数だからオイラーの公式に持ち込むことができて、うまいこと相殺するわけか。要するに、指数関数 e やら π やらが絡むと、その周期性から空間に認識できない何かが生じて、幸せになれるということかもしれん。
5. 重力定数とラグランジアン
ひも理論では、作用という概念を導入すると、自動的に方程式が出てくる仕組みになっているという。その作用とはラグランジアンのことで、大まかに運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの差のようなものだという。ちなみに、ハミルトニアンは、大まかに運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和のようなものだという。
さて、バネ振動の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーを求めれば、ひものラグランジアンが求まる。そして、ラグランジュ方程式にラグランジアンを代入すると、単振動の方程式に帰着する。こまでは普通の運動法則。
ところが、これに重力子とディラトンと電磁場が絡んで行列展開されると、理解力を超えた結果が登場しやがる。多次元理論で、重力定数が変化すると考えるのは自然かもしれない。なにしろ空間が変化するのだから。とはいえ、なんじゃこりゃ???
G4 ≈ G10/R6
4次元の重力定数が、10次元の重力定数と6次元の空間半径で決定されているではないか。これは異空間との接触を意味しているのか?それとも霊感を数式で表したらこうなるのか?
6. 超対称性
ボソンが無限次元と関係するのに対して、フェルミオンは2次元に潜んでいるという。ちなみに、ボソンは同じ状態が無限に、しかも同時に存在することが可能だという。
物理学には、重要な概念に「調和振動子」というものがある。単なるバネの単振動だが、それを量子化するところにミソがあるようだ。ボソンとフェルミオンのそれぞれの状態と生成・消滅演算子は、次のようになるという。
[a, a*] ≡ aa* - a*a = 1 :ボソン
{c, c*} ≡ cc* + c*c = 1 :フェルミオン
* は、複素共役。a や c は調和振動子の振幅。
さらに、超対称性は、次のような電荷 Q を考えることによって実現できるという。
Q = c*a + a*c
ボソンとフェルミオンをごっちゃにしたような電荷。この関係から、ボソンをフェルミオンに、フェルミオンをボソンに変えてしまうようなことが生じるらしい。例えば、ボソンの光子に Q を施して回転させると、フォティーノというフェルミオンになり、ボソンのグラヴィトンを回転させると、グラヴィティーノというフェルミオンになるといった具合に。ちなみに、フォティーノもグラヴィティーノもまだ未発見のようだ。あくまでも理論的な仮説だが、無限次元と2次元の間で交信ができるとでも言うのか?これが、テレポートってやつかは知らん。
7. 10次元と26次元
ひも理論で次元を考察する時、臨界次元とローレンツ異常を考慮する必要があるという。臨界次元を求める方法の一つは、異常項をなくすことだという。
異常項ってなんだ?ローレンツ異常と呼んでいるが、4次元におけるエネルギーと質量の関係と、量子スピンの概念から面白い考察を紹介してくれる。
まず、4次元の空間座標 (t, x, y, z) を想定する。
同様にエネルギーや運動量も (E, px, py, pz) の4次元とする。
ローレンツ変換は座標変換であり、(t, x, y, z) = (t', x', y', z') において、
t2 - x2 - y2 - z2 = t'2 - x'2 - y'2 - z'2
という不変量が存在するという。同様に、運動量にも不変量が存在し、それを質量に転化する。
E2 - px2 - py2 - pz2 = E'2 - p'x2 - p'y2 - p'z2 = m2
ここで、x方向にのみ運動すると仮定すれば、次のようになる。
E2 - px2 = m2
座標系で表すとこうなる。
(E, px, 0, 0)
いっそのことx方向だけでなく、質量 m の粒子と一緒に動く座標系を想定するとこうなる。
(m, 0, 0, 0)
つまり、E = m というわけだが、かなり強引だ。ここで問題になるのが、m = 0 の時。
E2 - px2 = 0
E = ±px となるわけだが、プラスだけ選ぶと、
(E, E, 0, 0)
つまり、質量ゼロの粒子は必然的に運動量を持つという。なんじゃそりゃ?質量ゼロの光子や電子が存在したって、不思議はないってか?
また、素粒子はスピンという角運動量を持っているとされる。つまり、自転している。光子はスピン1、ウィークボソンもスピン1。光子には二つの偏光状態があって、スピンの向きでそれぞれ +1, -1 になる。
ところが、ウィークボソンには、スピンの向きが、+1, 0, -1 の三種類あるという。それは、光子には質量がないのに対して、ウィークボソンには質量があるからだそうな。光子のスピンは (E, E, 0, 0) という格好で、y と z の方向に2の自由度があり、ウィークボソンのスピンは (m, 0, 0, 0) という格好で、x と y と z の方向に3の自由度があるということか。そして、次元 D において、質量ゼロの粒子は D - 2 の自由度があり、質量があると D - 1 の自由度があるということらしい。
おまけに、ひも理論の教科書には、次のような質量と次元の関係が出てくるそうな。
m2 = 2πT(26 - D)/24
こうして俗世間の酔っ払いは、狐につままれるのであった...
8. 熱力学とブラックホール
ブラックホールは、驚くほど熱力学に似ているという。
熱力学の法則は、こんな感じ...
第0法則: 熱的な平衡状態にある物体で温度 T は一定
第1法則: エネルギー保存則、dE = TdS + 仕事の項
第2法則: エントロピー増大の法則、δS ≧ 0
第3法則: どんな物理過程も、絶対零度 T = 0 には到達できない
ブラックホールの法則はこんな感じ...
第0法則: 定常状態にあるブラックホールの地平線で表面重力 κ は一定
第1法則: dM ∝ κdA + 回転や荷電の項、質量の変化分は表面重力と面積の変化分の積に相当
第2法則: 常に、δA ≧ 0、地平線の表面積は増加するのみ
第3法則: どんな物理過程も、κ = 0 には到達できない
熱力学の方は、E が内部エネルギー、S がエントロピー、T が絶対温度。ブラックホールの方は、M が質量、A が地平線の表面積、κ がその表面重力。地平線とは、そこに入ると二度と出られない境界線のことで、次のような対応関係があるという。
T ∝ κ, S ∝ A
エントロピーが、体積ではなく表面積に比例するのか?熱力学は統計力学によって支えられているが、ブラックホールも Dブレーンを波動的に捉えるというイメージが伝わる。
量子力学では、真空は何もない状態ではなく、量子場でいつも電子と陽電子がペアで生成しては消滅し、それを繰り返している状態と考える。だが、ブラックホールの地平線近辺で生成と消滅を繰り返せば、陽電子だけが地平線の向こうに落ちて、電子だけが残る可能性がある。相棒を失った電子は、自己消滅もできず、あたかもブラックホールが電子を放出しているように見えるかもしれない。ホーキング放射ってやつだ。この現象は、Dブレーン上を走っているひも同士が衝突して、ちぎれて、閉じたひもが放出される過程だという説もあるらしい。
2013-05-05
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