ちなみに、「人生にはいやなことがいっぱいある。中でも一番いやなものは、男同士の晩餐だ。」とは、ベンジャミン・ディズレーリの言葉である。
慣習とは恐ろしいものである。惰性に身を委ねているうちに義務もどきの強迫観念に囚われ、まったりとした駄文を量産する始末。いま過去記事を振り返りながら、読書から得られた名言をざっと拾ってみる。デジタル時代とはなんと便利であろう。新年早々、コピペ時代を謳歌する。要するに、ブログ開設十周年企画とは、手抜き記事であった...
ところで、「名言」とは、どういうものを言うのであろう。丸谷才一は、こう励ましてくれた。
「有名なのが名文か。そうではない。君が読んで感心すればそれが名文である。たとへどのように世評が高く、文学史で褒められていようと、教科書に載っていようと、君が詰まらぬと思つたものは駄文にすぎない。」
一つ付け加えるならば、ストレートな表現よりも、ややスパイスの効いたものがいい。酔いどれ天の邪鬼にとっては。そして、人生の意義をウィリアム・ジェームズの言葉に込める。
「人生は生きるに値するか?それはひとえに肝臓にかかっている。」
さぁ、まずは「科学、数学編」を...
1. 科学
「宇宙について無知であればあるほど、宇宙を説明するのは簡単だ。」... レオン・ブランシュヴィック
「宇宙がなんであるかを知らぬ者は、自分がどこにいるかを知らない。宇宙がなんのために存在しているかを知らぬ者は、自分がなんであるかを知らず、宇宙がなんであるかをも知らない。」... マルクス・アウレーリウス
「神は天地創造以前に何をしていたのか?そういう質問をするあなたのような人間のために、地獄を作っておられたのだ。」... 聖アウグスティヌス
「重要な科学上の革新が、対立する陣営の意見を変えさせることで徐々に達成されるのは稀である。サウロがパウロになるようなことがそうそうあるわけではないのだ。現実に起こることは、対立する人々がしだいに死に絶え、成長しつつある次の世代が初めから新しい考え方に習熟することである。」... マックス・プランク
「どんな科学分野でも、人が初心者であることをやめてその分野の達人となるには、自分は一生初心者のままだと知ったときである。」... ロビン・ジョージ・コリングウッド
「私がこの世に生まれてこなくても不確定性原理は、誰かが定式化したであろう。しかし、ベートーヴェンがこの世に生まれてこなかったら、作品111は誰も書かなかったであろう。」... ヴェルナー・ハイゼンベルク
「神学においては歴史的イエスの考え、哲学においてはヘーゲルのごとき弁証法的発展、生物学においてはダーウィンの進化論、物理学においてはエントロピー原理、これらすべて『一方向向きの時間』を原理とするものである。」... 渡辺慧
「科学者が自然を研究するのは、それが役に立つからではない。科学者が自然を研究するのは、そこに喜びを感じるからであり、そこに喜びを感じるのはそれが美しいからである。もしも自然が美しくなかったなら、それは知るに値しないだろうし、もしも自然が知るに値しなかったら、命は生きるに値しなかったろう。」... アンリ・ポアンカレ
「天秤は、おもりを載せれば必然的に下がらざるをえない。それと同じく、精神は明白な証明には屈せざるを得ない。精神がからっぽで、釣り合い用のおもりがなければ、最初に言われたことの説得力の重みにすぐに負けてしまう。」... ミシェル・ド・モンテーニュ
「進化は生物学の根幹を成すものであり、それによって生物学が新たに発展した理論に基づく科学という位置づけを得たとすると、これは科学なのだろうか、それとも信仰なのだろうか。」... チャールズ・ダーウィン
「信仰心を持たない科学には行き着く先がない、科学的視点を持たない信仰心には見る目がない。」... アルベルト・アインシュタイン
「人はみな極楽の門を開く鍵を与えられているが、その同じ鍵は地獄の門をも開く。」... リチャード・P・ファインマン
「創造主である巨人が死ななければならなかったことから、人間は永遠に苦労するように運命づけられた。」... サイモン・シン
「聖書は天国への行き方を教えるものであって、天の仕組みを教えるものではない。」... ガリレオ・ガリレイ
「天文学の歴史は地平線の後退の歴史である。」... エドウィン・ハッブル
「現代の聖人は、千年前の聖人より神々しい必要がない。現代の芸術家は、ギリシャ初期の芸術家ほどに偉大である必要もない。実際彼らは劣っていそうだ。そしてもちろん、科学者は昔の科学者より知性的である必要はない。しかし一つだけ確かなことは、科学者の知識は次第により広範になり、同時に正確になっていくということだ。確実な知識の取得と体系化は、人間のみが行える行動で、真に蓄積的で日々進歩するものである。」... ジョージ・サートン
「今日でさえ、自然法則の最新版が真実だと思いこんでいる物理学者は多い。過去の試みはおおよそのことしかとらえられなかったけど、今あるものは何の誤りもないのだと。彼らのいうとおりなのかもしれない。だが、歴史を振り返ればそうではないことが垣間見えてくる。」... イアン・スチュアート
2. 数学
「オイラーの等式を見て、自明と感じない人は数学者ではない。」... カール・フリードリヒ・ガウス
「数学者に何を言っても、彼らは自分自身の言葉に書き換える。そしてそれは直ちに何かまったく違ったものになる。」... ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
「数学は精神で構成するものであり、精神の活動を通す以外には、実存性はもちえない。記号、方程式、定理は、数学の内容を伝えるための手段にすぎない。それらのものは命題をなし、それが集まって物語となる。」... ジョセフ・メイザー
「数学の本質は、型を探し、構成と規則性を探し、一見何の関係もないように見えるものの間の関係を探すこと、現実的であろうと抽象的であろうと問題ではない。この意味で芸術とまったく同質である。とくに音楽に近い。音楽では、ある主題の型、リズムの型が繰り返し繰り返し現れるが、それと同じように、ある代数式が数学のいろいろな分野で繰り返し現れる。」... エリ・マオール
「人間の頭脳のもつ最大のパラドックスは、理解することに関しては複雑なことよりも簡単なことの方が分かりやすいが、自分で発想を得ることに関しては、複雑なことよりも簡単なことの方がはるかに難しい。」... 長沼伸一郎
「確率は一部は無知に相対的であり、一部はわれわれの知識に相対的である。」... ピエール=シモン・ラプラス
「ひとつの幾何学が他の幾何学に比べてより正しいということはありえない。どちらが便利かと言えるだけである。」... アンリ・ポアンカレ
3. おまけ
「さて、読者は哲学者と神学者の違いをご存知だろうか?哲学者とは、そこに存在しない黒猫を探すために真っ暗な部屋を覗く人。神学者とは、そこに存在しない黒猫を探すために真っ暗な部屋を覗き、さらにそれを見つける人である。」... レイモンド・スマリヤン
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