引き続きブログ開設十周年企画、すなわち、手抜き記事「建築、美術、音楽編」を。新年早々、コピペ時代を謳歌する...
人の一生とは狂言のようなもの。猿の仮面をかぶれば猿に、武士の仮面をかぶれば武士に、エリートの仮面をかぶればエリートに、サラリーマンの仮面をかぶればサラリーマンになりきる。あとは、幸運であれば素直に波に乗り、不運であれば生きる糧とし、いかに達者を演じきるか。同じ阿呆なら踊らにゃ損々...
しかしながら、才能ってやつは、なかなか演じることができない。分相応とは、この領域において言うのであろう。画家や詩人には創作の自由がある。キャンバスや譜面といった二次元的な形象を、多次元的な実体に変換してみせる。しかも、これは不可逆変換だ。凡庸な、いや凡庸未満な酔いどれごときが自由が欲しいと大声で訴えている間も、自然な天才は静かに自由を謳歌してやがる。
予断と合わぬ知識に対しては、芸術家どもは比喩の助けを借りて、すべてを間接的に仕掛けてくる。凡人には理解できまいと、嘲笑うがごとく。なにゆえ、こうも寓意に縋らねばならんのか。直接的では、あまりにも恥ずかしいというのか。マーク・トウェインは、うまいことを言う、「人間は顔を赤らめる唯一の動物である。否、顔を赤らめる必要のある唯一の動物である。」と...
おまけに、鑑賞者は芸術家のこしらえたものに夢を託す。なんと無責任な。現実が夢を壊すというなら、夢で現実を壊すしかない。創造物なんてものは、天才の手に委ねるのが一番だ。言葉を知らぬ者は、黙っておくべきなのだろう。だが、沈黙を守る術を知る者が、この世にどれだけいるというのか。そして、このような駄文ブログがのさばる。バーナード・ショーは、うまいことを言う、「人が死んでも、人生は依然として可笑しく、人が笑っても、人生は依然として深刻である。」と...
1. 建築
「生き生きとしてまとまりのある社会には、独自で固有の明確なパタン・ランゲージがあり、しかも社会のすべての個人が、部分的に共有するとしても、全体としては自分の気持に合わせた、独自のランゲージをもつであろう。この意味で健全な社会には、たとえ共有され、類似していても、人間の数だけパタン・ランゲージが存在するであろう。」... クリストファー・アレグザンダー
「自然の中に直線が表れるのは稀である。自然は数学ではない。だが、規則的なスタイルは精神を満足させる。無秩序でないものに人間は満足感を得る。だからといって、人間を満足させるように努めるだけが能ではない。」
... R. デシャルヌ & C. プレヴォー著「ガウディ 芸術的・宗教的ヴィジョン」より
2. 美術
「茶道は、美を見いださんがために美を隠す術であり、現わすことをはばかるようなものをほのめかす術である。」... 岡倉天心
「死せる者は死せる者のごとく、生ける者は生ける者のごとくなりき」... ダンテ
「芸術家は、革命家になるか、剽窃家になるかのどちらかだ。」...ポール・ゴーギャン
「いかなる種類の人間であろうと、なんらかの実力の業、あるいはまさしく実力とまごうかたなきことを成し遂げたならば、誰でも、正直で誠実な人であるかぎり、みずからの手でおのれの生涯を書き記すべきであろう。とはいえ、それほど大事な目論見であれば、四十歳を越える前にはとりかかるべくもあるまい。」... ベンヴェヌート・チェッリーニ
「いかなる分野の仕事であれ、秀でた人物が出現するとき、多くの場合たった一人だけでないのが自然の摂理である。」
「非常の才能を身に備えているのでないくせに、運命に助けられる人が数多く世にいる。そしてちょうどその逆に、才能を身に備えていながら逆運にいじめられて泣く人も数限りなく多い。それだから運命の女神が寵愛する子供というのは、まったく才能の助けなしに、運命の女神にすがるものだということがよくわかる。」
... ジョルジョ・ヴァザーリ
「ラファエロには、ただ一つの傑作というものはない。彼のどの作品にも、"刹那よ、とどまれ!"ということはできない。彼は水であり、河である。それも、澄んだ河である。まわりのものを誰よりもみごとに映して見せる、鏡のごとき河である。彼が本当に持っていたもの、それは透明さなのだ。それは、自己の色を持たないということを意味している。」... 若桑みどり
3. 音楽
「聞こえる旋律は甘美だが、聞こえない旋律はもっと甘美だ。」... ジョン・キーツ
「バッハのカンタータの歌詞は、なんでああ大げさでばかばかしい内容のものが多いのかね。イエスと魂が延々とラブシーンまがいの台詞を言い合うのにはまったくうんざりするよ。」
... 樋口隆一著「バッハの風景」より
「モーツァルトを聴いていると、名曲聴いて、旨い物食べて、酒飲んで寝て、一度しかない人生楽しんで生きて、なに悪かろうという気になる。ベートーヴェンを聴くと逆に、そんな遊び呆けていては駄目だ、人間として生まれたからには、何かを成さなければならない、成すために君はここに生をうけたのだと、そのように言われているような気持ちにさせられる。小生にとっては、ハタ迷惑な暑くるしい作曲家である。」... 井上雅之
「とても分かりやすく、それでいて何とも不可解な、言いようのない音楽の深みは、音楽が私たちの最も内側にある感情をすべて再現しているのに、リアリティがまったくなく、痛みからはかけ離れている... という事実に起因する。音楽は人生とそこで起こる出来事の真髄のみを表現し、決してそれ自体を表現するのではない。」... アルトゥル・ショーペンハウアー
「音楽とは、マクロな時間領域では遺伝子と文化によりコード化された特異的に持続する情報構造をとり、ミクロな時間領域では連続して変容する非定常な情報構造をとり、脳の聴覚系および報酬系を活性化する効果をもった人工的な音のシステムである。」... 大橋力
「音楽は言葉で説明するものではない。表現がすべてであり、わかる人にはわかる、わからなければそれもやむをえない。だが、そう突き放されることでどれだけの音楽が私たちの手を離れていっただろう。言葉で説明することを邪道とする固定観念は、鑑賞者よりもむしろ音楽家自身を不自由にしてきたのではないだろうか。それが彼らのストイシズムである一方で、呪縛となっていたことは否めない。」... 最相葉月
「音楽についてというのでなく、演奏と演奏家について書くということが、とかく、やりきれないほど皮相的で、あわれなことになりやすいのも、その理由は、演奏の本質によるというより、むしろ人間の心の深いところに潜在しているのであろう。」... 吉田秀和
「ニヒリズムと狂気がないまぜになったところにこそ、最高の美が生まれる。」... 中川右介
2017-01-15
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