本書は、30年前に出版された「相対論的宇宙論」の復刊版である。
中学生時代に読んだ覚えのある本だ。やはり本棚の奥に色あせたブルーバックスがある。当時は、真面目に宇宙物理学を専攻したいと考えたものだが、アホなので別の道を歩んでいる。夢を見ていた当時を思い出しながら懐かしく読んでしまうのである。
それにしても、30年も前の科学の書籍が復刊するとは信じられない。一般相対性理論が90年以上も実証されてないというのもすごい話である。あらためてアインシュタインの偉大さを感じる。いまだに、本当かどうかわからない理論というものは不思議と興味を持つのである。もしかしたら究極の詐欺師なのかもしれない。師匠として崇めなければならない。
天動説と地動説。定常宇宙論と進化宇宙論。様々な論争で、世論または宗教へ闘いを臨んだ科学者達のいきさつを紹介している。宗教、哲学から物理学へ引っぱりだした科学者の功績は大きい。しかし、宇宙論は未だに物理学というよりは幻想的な世界のようである。
地球がまわっているのか。アル中ハイマーがまわっているのか。酔いがまわってくるのである。
無限質量で吸い込むブラックホールの存在では、運動を吸収の一方向にしか表現できないという一見矛盾したかに見えるものを一方向に放出するホワイトホールと結びつけて、ブラックホールとホワイトホールがこの世とあの世を結びつけるかのような発想は興味深いのである。
宇宙論については、古くからの論争を紹介している。
宇宙は有限か無限か。宇宙に中心はあるか。宇宙は一様か。真空はあるか無いか。真空説と充満説。絶対空間が存在するか。相対空間のみが存在するか。これらの現時点の解釈を説明してくれる。
アル中ハイマーは絶対的に酔っているか?相対的に酔っているか?と言う議論には"君に酔ってるんだよ!"つまり、エーテルとは酒なのである。
宇宙の起源、銀河の起源の、数々のモデルを紹介している。
ここで気に入ったフレーズがあったので紹介しよう。
「"神は宇宙を創る前は何をしていたか?"とたずねるへそまがりへの神学上の回答は、"神はそのような質問をする人のために地獄を創っていた"」
なるほど。アル中ハイマー流の解釈は、超宇宙とは地獄のことなのである。つまり、ブラックホールとは酒場のことだったのである。
本書は、観測可能かどうかの狭間で形而上学から物理学へと進化したいきさつを紹介してくれる。そして、まさしく宇宙論はその狭間にあると締めくくる。
昔は、なぜ光の速度が基準となるのか、それより速い速度はなぜ有りえないのか?純粋に疑問に思ったものである。未だにこの疑問への回答はできないようである。
このような昔からの本を読んでいると脳の一部が活性化されるがごとく気持ちいいのである。しかし、つい最近読んだものはすっかり忘れ去られ、随分昔に読んだものが思い出されるとは、老いている証明であり信じたくない現実である。
アル中ハイマーは現実から逃避するがごとく、ブラックホール(酒場)へと落ちていくのである。
2007-02-11
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