2024-01-07

アップデート依存症...

人生のプレイヤーは、自己のアップデート欲に憑かれる。それは、ソフトウェアのアップデートと何が違うのだろう。ハードウェアのアップデートが叶わぬとなれば、せめてもの足掻き。そして、人生に疲れる...

脳内記憶をアップデートしようと、知識を蒐集し、スキルを高めようと必死にもがく。それは、切手や美術品のコレクションと何が違うのだろう。ナチスの高官どもは、ヨーロッパ中の名画を漁り、美術品を露骨に徴収した。戦利品に群がるのも、征服感を満喫するため。人は何かを蒐集せずにはいられない。物も、人も。ブランド品を集めては目の前に並べ、満足感に浸る。書物を集めては本棚を満たし、満足感に浸る。それで、もったいない病が疼けば、しゃーない。書物蒐集家は読書依存症に...

相手を見下すために知識で武装すれば、まさに他人依存症。自己の克服が叶わぬとなれば、他人の支配にかかる。そして、自らの優位性を誇示し、目の前の人たちを奴隷化しようとする。奴隷制が廃止されても、人間関係における所有の概念は廃れず。
しかし、人類はこうして進化してきた。進化の過程では、退化の時期もあったはず。では現在は...

アップデート欲は、現状への不満や改善欲から生じる。それは、いわば人間の本能。相対的な認識能力しか持ち合わせていない知的生命体は、比較においてしか欲求を満たせない。現状を見つめるために過去を振り返り、自己を見つめるために他人を観察する。アリストテレスは、うまいことを言う。「希望とは、めざめている夢なり」と...

人間ってやつは、一般的に楽観主義者に違いない。取り返しのつかない過去に絶望し、根拠のない未来に希望を託す。
だが、明日はあさっての昨日に過ぎない。そこに限界を認めれば、妥協を強いられる。それが、自己満足というものか。依存症は自己満足との駆け引きにおいて生じる。依存症を黙らせるには妥協が必要だ。自己満足に抑制をきかせるためにも...

「希望とは一般に信じられている事とは反対で、あきらめにも等しいものである。そして、生きるとは、あきらめないことである。」... カミュ

デルポイの神殿には、汝自身を知れ!と刻まれる。自己を知ろうとすれば、自身のアップデート欲をますます旺盛にさせる。そして、わずかでも自己を知り、希望が絶望に変わった時、神は、おとといおいで!とささやく...

「人間には絶望的なピンチよりももっとタチの悪いピンチがある。そいつはなまじ偽物の希望ってやつがあるというピンチだ。」
... アニメ「あしたのジョー」より

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