2006-11-25

"Joel on Software" Joel Spolsky 著

久しぶりにおもしろいマネジメント本を読んだ。
ソフトウェア関連の書籍だが、おいらにとってはマネジメント本だ。

いきなりジョエル・テストは、おもしろい!なによりシンプルさがいい!
結果は。。。まあいいかあ。。。
"ピープルウェア"が少し登場した時はニヤリである。
おいらは"ピープルウェア"のファンである。

プロジェクトマネジメントで仕様書の重要性を謳っている。
「仕様書は生きている!」というフレーズは共感できる。
おいらもプロジェクトマネジメントの経験があるが共有するドキュメントは常に最新版に保ち、神様の位置付けにしなければ気が済まない。
おいらは、仕様書を書くことがそれほど嫌いではないのだ。きっと仕事仲間から嫌われる理由の一つだろう。

「仕様書のテンプレート化は有害である。」これも共感できる。
かつて、標準化しようと努力したこともあった。
できるだけ機械化して作業効率を上げたいと誰でも考えるのだろう。
しかし、システムによって表現が異なるしアプローチも異なり逆に効率性を失うと思っている。なによりも進化していく余地もほしい。おいらは自由が好きなのだ。

UnixとWindowsの宗教論争もおもしろい。
エリック・レイモンドを批判しているようだが、"The Art of Unix Programming"を金を出して読んでみたくなった。おいらは天の邪鬼である。

プロジェクトで一番重要なのは人である。まったくその通りだが、
本書では、採用方法の重要性を語っている。なるほど。
「面接官が自慢屋だと一人で喋って誰でも雇ってしまう。」
ははは!なぜか笑えるのだ。
「エンジニアに対する報奨金の有害とパフォーマンス測定。」
これもなぜか笑えるのだ。
今日、成果主義を謳う企業が多いが、評価に正当性がなければ人材は居なくなる。一方で、対価よりも社会的使命を重んじる優秀な人達が居る。こういう方々は、組織のくだらない体質には付き合わない。マネジメントは個々に対応しなければならない。つくづく難しいものだと思うのである。

オープンソースの経済学では
「オープンソース開発に多額の資金を使う理由は資本主義を信じるのをやめ自由に浮かれてるわけではない。ミクロ経済学の補完財の原理で有効なビジネス戦略である。」
おおお。。。うまいこと言うなあ。。。

散々m社を賞賛していたものが、「Windows APIはなぜ負けたか?」あたりで、一転、"今までの大言壮語と尊大さは許してほしい"と詫びて、m社で最も重要な戦略資産であるAPIについて語られている。
.NETの評論では、抽象過ぎる宣伝文句を批判している。
まあ、本書に限らず"なんでもできる"と言った宣伝文句はよく見かけるし、何が言いたいのかよくわからないものも良く目にするもんだ。
昔、MSDNをかじって二度とやるもんかと思ったものだが。
.NET環境だって。。。トラウマは怖いのである。

昔ブラウザで一世風靡したn社を散々けなしている。
おいらも昔イライラさせられたことがあるのでニヤリである。
だからと言って、m社の某製品を賞賛しているのは、どうも抵抗がある。
著者が開発者だからであろうが、某文書作成ツールでは血圧急上昇だ。
過労で裁判になる時代だが、使い勝手のストレスで寿命を縮められたって裁判が起きても不思議はない。

本書は、どこぞの学者なんかより現実を語った説得力があるものだ。
うちの本棚では、"ピープルウェア"、"ハッカーと画家"の隣に並べることにしよう。

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