2007-01-06

"はじめて読むドラッカー: 全般" Peter F. Drucker 著

この「はじめて読むドラッカー」シリーズは、いつかは読もうと思っていたが、重そうでなかなか手をつける気になれなかった。しかし、ブログネタにでもと思い挑戦してみた。これもブログ効果なのである。

元々3部作だったようだが、「技術編:もの作りが文明をつくる」を加え4冊目が発行された。よって以下4冊について記事を書くことにした。
1. 自己実現編 - プロフェショナルの条件
2. マネジメント編 - チェンジリーダーの条件
3. 社会編 - イノベーターの条件
4. 技術編 - テクノロジストの条件
このシリーズ、多くて1つにまとめられないのかという意見をよく耳にする。そこで当初の試みは、4冊の記事を1つにまとめ上げることにあったが、やはり無謀であった。
よって、「全般」「自己実現編」「マネジメント編」「社会編」「技術編」に分けることにした。なんと4冊の記事のはずが5つに増えているではないか。これは一杯飲んで落ち着くしかない。こうしてアル中ハイマーは病と闘うのである。

では、酔っ払う前に、全般的な印象を語ってみよう。全体的に表現は、同じことを繰り返し異なる言葉で述べられているので頭に入りやすい。また、多くの例題を用いている点も理解を深める。逆にくど過ぎるせいか、翻訳のせいか、読みづらいところも少々ある。おろらく、アホのおいらにでも読めるように考慮されているのである。とてもありがたいことである。どの書も歴史背景と、考えに至る過程を大事にしているところは感銘を受ける。

読み始めると、それぞれの書が、
"これからは知識社会だ。常に自問自答し続け知識を進化させなければならない。自分で考え責任を持つ倫理観が必要だ"
ということが述べられていることにすぐに気づく。しかし、本書の存在意義は、そう簡単には片付けられない。なぜならば、人間環境を観察、分析、その過程の方が困難で重要であることを語っているように思えるからである。
これを社会生態学(造語らしい)と言うらしい。そのように思い始めたのは、3冊目社会編の頭あたりだっただろうか。ゆえに、これだけの多くの書を生み出しているのではないだろうか。

このようなマネジメント関連の書籍には、つい結論やノウハウを先に求めてしまう。ビジネスマンは忙しいのである。よってコンパクトにまとめてもらいたいものだと思ってしまう。しかし、よく考えると第三者に結論だけ求めるのも失礼な話である。せっかく、これだけ丁寧に歴史を調べ上げ過程を大事にしてくれている書物に対して敬意を払ってじっくり読むべきであろう。そう考えると、歴史に対する観察や分析をまるで文学作品のように風景の流れを味わうが如く読み続けることができるのである。その中で語られている結論の方がおもしろい。歴史書としても充分にいけてる。
こうして、おいらは術中に嵌ってしまうのである。
これは1つの記事にまとめられなかった、ただの言い訳なのである。

それにしても、こんな名著が売れているというのに、世間ではすげープロジェクトが続出するというのはどういうことか?
またまた複雑な社会の脱落者は病に陥るではないか。
おかげで、病状は"アル中ハイマー"に加えて、"狂ったキルケゴール"までかかえてしまうのである。ちなみに、"酔っ払ったディオゲネス"は先天的な病である。
尚、キルケゴールは「社会編」のおまけの章で登場する。
「人間の実存はいかにして可能か」の問いに対する答えは「酒樽の中に」である。

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