2018-01-07

2018年は、犬学派の年だそうな... でも、おいらは子猫ちゃん派...

吾輩は犬である。小悪魔の前で、いつもクンクン尻尾を振る。名前は夜の社交場でトッキーと呼ばれ、どこで名付けられたか頓と見当がつかぬ...
... アル中ハイマー著「自我失認論」、序説23篇「子猫ちゃん派学徒の独り言」より抜粋

干支は、十干と十二支の最小公倍数をとって 60 年周期をとり、天文学的に意味付けされる。それで各年に動物を割り当て、生まれた年で性格までも決定されてはかなわん。決定論とは、占星術の類いか...
今年は、戌年!... あえて犬学派の年としておこう。そして、本ブログが「酔いどれディオゲネス」を称すからには、この逸話を語らずにはいられない...

かのマケドニアの大王は、古代都市テーバイを破壊し、次にアテナイを滅ぼすかどうかを決め兼ね、この街に住む賢人に意見を求めたという。
「余はアレキサンダーである。」
「わしが犬のディオゲネスじゃよ。」
「お前は物乞いと聞く。欲するものがあればなんでもくれてやろう。望みを申せ!」
「では、そこをどいてくれ!太陽が陰るでなぁ...」
「お前は、余が恐ろしくないのか?」
「お主は何者か?善人か?悪人か?」
「むろん、善人だ!」
「ならば、誰が善人を恐れよう。」

自由都市として輝くアテナイに陰りを与えるとすれば、それは独裁者という存在... と悟ったか。その帰途、大王はこう呟いたという。
「余はアレキサンダーでなければ、ディオゲネスでありたかった。」
かくして、アテナイは救われたとさ...

犬儒学派で知られるディオゲネス。犬のように気ままに歩き回り、酒樽をねぐらとする堕落人にして自由人。プラトンに「狂えるソクラテス」とあだ名された。プラトンが「人間とは二本足の羽のない動物である。」と定義すると、ディオゲネスは雄鶏の羽をむしりとって「これがプラトンの言う人間じゃよ。」と応じたのである。狂ったこの世で狂うなら気は確かだ!とは、彼のような生き方を言うのやもしれん...

犬は人間にとって最高の友、いや、最高のペット、いや、最高の奴隷!その証拠に、権力者の犬などと呼ばれる。それで、対抗馬の猫が虐げられてはかなわん。
科学の最先端を突っ走る量子力学は猫に非人道的な扱いをする。猫は生きているのか?死んでいるのか?しかも、それは猫の意思なのか?人間の意思が関与できない純粋な物理現象においては、生と死の両方を体現できるパラレルワールドだって現実味を帯びる。量子論はなんでもありか?
量子力学の基礎方程式を唱えたシュレーディンガーは、著作「生命とは何か」の中で、自由意思なるものの根源を問うた。量子コンピュータは、猫の非人道的な扱いに復讐を企てようとしているのか?夜の社交場で男性諸君が子猫ちゃんにひれ伏すのも、神の企てか?どうやら、子猫ちゃん派とは、小悪魔の犬になることを言うらしい。これが決定論の下した帰結だ...

人間の脳は、単なる時分割多重処理型のオートマトンに過ぎないのではないだろうか。人間でも心があるのか分からない人がいるし、心があるようでも、そのように演じているだけかもしれない。心の存在証明は、神の存在証明と同じくらい難しい。おそらく、それを証明することは不可能だろう。デカルトほどの人物ですら、私は思惟する!という単純な心の動きで証明を終わらせた。
精巧なロボットにも霊感のようなのを感じる。それは人間と何が違うのだろう。犬型ロボット AIBO は子供たちの人気者。ちょっと故障して、大人が足を付け替えようものなら、子供は足をもぎとって虐待しているのかと思い、白い眼で睨みつける。しかし、こいつはロボットだ。映画「ターミネーター」では、シュワルツェネッガーが腕を切るシーンがある。しかし、こいつもロボットだ。いや!シュワちゃんの腕だから気色悪い...
どんな物体であれ、心があるように見えれば、それなりの扱いをする。人間の脳だって、同じ原子構造を持ち、同じ電子活動をしていれば、そこに仲間意識のようなものが芽生えても不思議はない。情報処理の仕組みやコミュニケーションの原理は、言葉や記号の概念だけでは説明がつかない。経験的で精神空間にマッピングされる像のようなものを感じとって、認識の形をなす。ロボットは時計仕掛けの存在であり、電気的な周波数によって動作する。
では、人間はどうだろう。人間だって、時間に支配されているではないか。天体運動によってもたらされる昼と夜の配分によって、刻まれた時を守りながら仕事勤めを続けている。それは、天に看取られているということか?しかも、おめでたいことに、それを義務だと思い込んでいる。自由意志の動作原理には時計仕掛けの何かがあり、心はその安定周期に安住を求める。それが習慣ってやつだ。
いまや自由意志を解明するために、千鳥足で気ままに歩きまわるロボットの開発が急務だ。これによって、星々が点間をうごめく力学現象も、アル中ハイマー病患者が店間をうごめくハシゴ現象も、完全に解明できるはずだ。
ところで、異性型ロボットとの間に不倫は成立するだろうか。人類がロボットの犬となる日も近い...

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