2020-02-23

"英語で手帳をつけてみました" 有子山博美 著

何を学ぶにせよ、手段は人それぞれ。慣れ親しむことこそ肝要。楽しめれば、尚いい...
言語は手ごわい。なにしろ精神を相手取る代物だ。母国語として、精神空間で絶対的な地位を確立している日本語ですら、うまく操れないというのに。同じ単語でも、会話の相手と同じイメージを描きながら喋っているのだろうか?と思うこともしばしば。客観性の強い専門用語ですら、専門家の間でニュアンスが違うと見える。
しかし、それでコミュニケーションが成り立っているのだから、人間社会は摩訶不思議!いや、成り立っていると思い込んでいるだけのことやもしれん...

言語は手ごわい。外国語ともなれば、文化の違いを思い知らされる。著者の体験談によると、TOEIC 960点でも、いざ外国人を前にすると、英語のフレーズが口からなかなか出てこないらしい。人生は短い。点数競争に興味はない。興味のないことに手を出している余裕はない。外国語そのものに興味を持たねば...
媒体は、映画でも、海外ドラマでも、洋書でも、音楽でも、はたまたゲームでも、なんでもあり。学生時代と違って、大人の勉強は自由でいい。ちなみに、始めておいらを虜にしたセリフがこいつだ...

"Go ahead, make my day."

コンピュータ業界では、プログラミング言語を習得するには、とりあえず書いてみる!理屈は後からついてくる... といった考えがある。自然言語とて同じ、まずは喋りまくること。しかし、ダーティハリーがおしゃべりじゃ、さまにならねぇ...

そういえば、二十年も前になろうか、駅前留学をしたこともあった。セミナーを受講するより、サロンで雑談している方がはるかに勉強になったっけ。おいらに欠けている機能は、英語耳!英語の技術論文や規格書などに触れる機会はあっても、音声に触れる機会が極端に少ない。ようやく周波数に慣れ、それなりに会話ができるようになり、少しは自信もついたが、継続しなければやはり衰える。
先日、産学連携センターのサロンでお茶をしていると、和服を着ていたせいか、数人の外国人に話しかけられた。すると、手を必死に動かしながらも、口はなかなか動いてくれない。一人はドイツ人で英語があまり得意ではないらしく、ハンドサイン・ジェスチャーを駆使していたので、彼とは意気投合した。なるほど、会話では相槌も重要!外国版の相槌の仕方を知っているだけでも、なんとなく会話が成り立った気になれる。ドイツ語と日本語の狭間で、英語が漂っているような奇妙な会話空間は、多様な文化圏に身を置くようで、なかなかエキサイティング!一つの言語圏に支配されない非言語コミュニケーションってやつを体験しているような...
日本では英語にこだわる傾向にあるが、グローバル社会を謳うなら、様々な言語が飛び交うような会話空間こそ自然なのであろう。地球を一周すれば、英語だけでも多様な方言で溢れている。コミュニケーションなんてやつは、それが成り立っていると思い込むことができれば幸せになれる...

何を学ぶにせよ、子供の素朴な学び方が一番参考になる。つまりは、真似ることに始まる。脂ぎった動機は余計だ。
本書は、英語に慣れ親しむための手段を提案してくれる。まずは、生活習慣として、手帳、ToDo リスト、予定帳、日記などを手短な英語にしてみる。そして、「出来事 + 感想」をセットで書く習慣を... と。
人の行動は意外とパターン化されていて、口癖もあるもので、英語のフレーズもこれに乗せるとよさそうだ。英語で手帳をつける時のスマートな書き方を紹介してくれるサイトも多い。
さらに、英単語を分解して語源を辿ったり、反対語、同義語、類似語を拾って、芋づる式に語彙を広げていく。関連付けを意識すると覚えやすい。
また、接頭語や接尾語の意味、動詞や形容詞の名詞化、あるいは、日本語では馴染まない無生物主語といった構文解説は、知っているつもりではいたが、再認識させてくれる。そして、なによりも口に出してみること。音読やシャドーイングの癖を。
要するに、ネイティブな英語に触れる機会を増やし、英語を楽しもうというわけである。人間の精神空間は、ある種の信号処理装置として捉えることができよう。インプットが少なければ、アウトプットも少ない。脳内記憶素子は、様々なインプット情報の関連付けによって活性化される。いや、人体そのものが熱機関としての存在。喰って、排泄するだけの。ただそれだけのことやもしれん...

近年、Online サービスも充実し、その場で翻訳や発音を知ることができるのはありがたい。G さん翻訳も、そこそこ使えるようになってきたし、機械学習やディープラーニングもなかなか侮れない。
いくら辞書を引いても、文章を組み立てる上でコロケーションってやつに悩まされる。単語の結合の仕方には文化的な性質が含まれ、気に入ったフレーズを丸ごと真似て、カスタマイズしていくのが手っ取り早い。それは、日本語の文章を組み立てる時でもやっていることだ。
本書は、そのための良い方法として、名言集を薦めている。ここで紹介してくれるのはこれだ...

"The greater danger for most of us lies not in setting our aim too high and falling short; but in setting our aim too low, and achieving our mark."
... Michelangelo

“The man who thinks he can and the man who thinks he can't are both right. Which one are you ?”
... Henry Ford

名言は洗練されているだけに、デスクトップ上で泳がせておくと、ええ感じ。
そして最近、気に入っているフレーズがこいつだ...

"Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever."
... Mahatma Gandhi

"The highest happiness of man is to have probed what is knowable and quietly to revere what is unknowable."
... Johann Wolfgang von Goethe

なんといっても、音調とリズムがええ...
慣習とは、すなわち、リズム。興味を持ち続けるためには、心地よい周期が欲しい。生活のリズムってやつに。何かを会得したと実感したり、なんらかの達成感を味わえれば、それが、ささやかな恩賞となる。そして、自己にステータスのようなものが感じられる。ゲームをやり続ける動機として、アイテムを集めたり、ポイントを貯めたりといったことがある。キャラクタの成長を自己のステータスに投影するのである。名誉や財産に執着するのも、ある種のステータスを求めてのこと。知識のコレクションやスキルアップにも、同じ心理学が働く。こうなると、自己啓発もリズムに支配されたかっぱえびせん状態!
そして今、嵌っているリズムがこいつだ...

Dressed in black, With slanted hat.
  黒を着こなし、帽子を斜めに構え
No one knows, What you see.
  誰も知らねぇ、奴の目がとらえているものを
  ...
Stylish looks, With shaggy beard.
  粋なルックスに、もじゃもじゃの顎髭
And chicks and scotch, Relieve your pain.
  そして、いかす娘(こ)とスコッチが、奴の苦痛を和らげる
Revolver fires, Let it go!
  リボルバーが火を噴く、もう、手がつけられねぇ!
Trailing notes, And smoking barrel.
  余韻に浸る、煙る銃身に

Like a wolf in bush of ghosts.
  亡霊どもに看取られた狼のように
You never care, Who's gonna get close behind you back.
  奴は気にしない、背後から誰が忍び寄ろうと
Never feel sorry for being all alone.
  孤独でも嘆くことはない
Every minutes, every seconds, every little moments.
  いつ、どんな時でも...

Never be harsh, You're so sweet.
  けして、むごい奴じゃねぇ、あまい奴さ
Gently move, With bitter jokes.
  紳士に振る舞い、きついジョークも飛ばす
Don't look back, The deed is done.
  振り返るな、これで終わりさ
The sun shows up, Just as bright.
  太陽が昇り、辺りが明るくなる
  ...
A man in black.
  黒の似合う奴

... "Revolver Fires" by Lupin the 3rd "Jigen's Gravestone"

こんな臭いフレーズ、どこで使おうか知ったこっちゃないが、俺に言わせりゃ、ロマンに欠けるなぁ...

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