2010-01-17

もしも、千鳥足な天文学者がいたら...

もしものコーナー...
もしも、千鳥足な天文学者がいたら...だめだこりゃ!

「人類とは何者か?どこから来たのか?そして、どこへ行くのか?」
人類の正体を暴こうとする渇望が、人類の住む宇宙を解明する欲望を駆り立てる。そして、神に近づこうとすればするほど、神からの制裁を受けるのかもしれない。人類は、自らの進化によって、自滅する運命にあるのかもしれない。


1. 天文学の意義
古代から探求されてきた「人間精神は実存するのか?」という哲学的論争は、いまだ決着を見ない。人類の住む宇宙を探求するということは、人間の生きる意義を求めているのだろう。したがって、天文学は信仰と深く結びついてきた歴史がある。この学問が科学の域に達していない時代、宗教観から外れた客観的見解を示すと、異端宗教と見なされ迫害された。ガリレオは、地動説を主張したばっかりに宗教裁判にかけられた。しかし、一旦科学が認知されると、宗教の方が胡散臭い立場へと追いやられる。そして、地球の地位を確認するために、あらゆる天体までの距離の計測が始まった。生命の住む惑星の神秘に憑かれながら、地球外生命の存在の可能性を想像してきた。はたして、宇宙の正体が解明できた時、人類の正体を暴くことはできるのだろうか?地球のエネルギー史は、地球誕生時にそのほとんどが決まる。せめて、地球が解明されるまでは、この惑星を大切にして人類の文明を存続させたいものである。
ところで、科学の進歩に限界があるのだろうか?科学の進歩は、宇宙の誕生から消滅までの過程に同期しているような気がする。現在は宇宙の壮年期で、科学の進歩にも無限に広がる可能性を感じる。いずれ宇宙の膨張が停止すると、科学の進化も熟年期に入り、過去の知識に立ち返り、立ち止まる運命を背負うだろう。そして、宇宙が収縮し始めると、科学は結末の覚悟を決める。この時、人類は絶対的な価値観を会得できるのかもしれない。ただし、宇宙消滅まで人類が存続できればの話だが。

2. 酔っ払いの住む惑星
しばしば地球は水惑星と言われるが、実際には地球が含む水の質量は0.1%程度である。だが、地表の3分の2が海に覆われ、水の及ぼす影響が大きいのも事実である。そもそも物質が液体状態になりうるのは、限られた温度と圧力の範囲においてである。太陽からの距離も絶妙で、大きさも適度、木星や土星といった巨大惑星の絶妙な配置が隕石の防波堤となる、などなどの諸条件が重なって知的生命体が誕生したと言われる。そして、偶然にも恐竜の絶滅があって、人類の繁栄があるのかもしれない。地球の自転軸傾斜は数万年で約1度変化し、軌道離心率も約10万年で変化し、それが原因で数万年から10万年で氷河期を繰り返すと言われる。おまけに、磁気圏が宇宙線を地表に到達できないようにする。こうした極めて偶発的な条件が重なったおかげで、生命体が進化できる可能性を与えてくれる。この惑星に奇跡的な予感がするからこそ、神の存在を感じさせるのかもしれない。
地球の自転から昼と夜が与えられ、月が移動する様は、生命に時間の流れを感じさせてくれる。時間認識とは、生きることを飽きさせないために与えられたのかもしれない。
地球の自転は、北半球と南半球で逆向きの力を与える。いわゆるコリオリの力である。台風の渦が、北半球では反時計回りになるのに対して、南半球では時計回りになる。ロケットや大砲の弾道計算では、コリオリの力を補正する必要がある。そして、アル中ハイマーも地球の自転の影響を体感しながら生きている。夜の社交場をぐるぐる回るのは、北半球に住んでいるせいであり、南半球に移住すれば、きっと昼間に図書館めぐりをしているはずだ。また、店のゲートを通過する度に体温が上昇するのは、地球上に流動するアルコール成分の影響であって、一種のエルニーニョ現象と考えている。

3. ゆらぎと宇宙創生
宇宙の始まりは、無からの創生である。それは、時刻ゼロで、物質やエネルギー密度が無限大に発散した状態から始まる。宇宙物理学者は、何らかの方法で極微の時空を作りだすことができれば、ビックバン宇宙へと発展する可能性を仄めかす。しかし、無とは何か?なぜ?無から極微な空間が創出できるのか?物質のエネルギーは、運動エネルギーと位置エネルギーの合計で決まる。つまり、運動しなければ全てが位置エネルギーということになる。しかし、何かが存在しなければ、膨張するエネルギーを与えることはできないはず。ところが、量子論者は、どんなに運動を小さくしてもこれ以上小さくできない運動エネルギーの存在を仄めかし、その最低状態の運動をゼロ点振動で説明する。無とは、体積ゼロであるから全エネルギーはゼロ、時空の大きさもゼロのはずだが、量子論的にはゆらぎが存在するという。これがゼロ点振動のエネルギーというわけだ。量子論者は、何もないところに突然負の仮想エネルギーを登場させ、都合よく宇宙を膨張させやがる。しかも、これすべて不確定性で片付けやがる。無から虚時間に量子的ゆらぎが生じ、ゼロエネルギーが膨張して、実時間の世界を創るとでも言うのか?さっそく、アル中ハイマーも実験してみよう。ある店で熟成したスコッチを飲んで体を揺らしてみると、いつのまにか別の店にいる。なんと!虚時間の世界が体現できるではないか。

4. 「宇宙の距離はしご」と「夜のはしご」
天体を観測する上で手っ取り早いのは直接観測であるが、現在の科学では無理というものだ。なにしろ、太陽以外の最も近い恒星ですら到達するのに何光年もかかるのだから。
ところで、距離の計測には全ての天体に応用できる測定法があるのだろうか?歴史的には、近傍から遠方へと手法をつないできた。太陽系の惑星では、ケプラーの第3法則を用いる。つまり、惑星の軌道半径と地球の軌道半径の比は、惑星の公転周期と地球の公転周期の比から求まる。近傍の星までの距離は、三角測量を用いて、離れた2点において、別々に見える方向の角度を計測する。地球上の2点では距離が近すぎるので、地球が移動する場所から2点を選べば年周視差が得られる。
視差で測定できない遠方となると光源法が登場する。既知である天体の真の明るさを基にして、天体の見かけの明るさを測定することにより距離を求める。見かけの明るさは、真の明るさに対して、距離の2乗に反比例して暗くなるので、見かけの明るさと真の明るさが分かれば距離が求まるというわけだ。運良く星雲内にセファイドが見つかれば、その変動周期を測定することで、星雲までの距離が求まる。
遠方銀河では、統計的な方法を用いる。ある明るさの天体がどれくらいの個数存在するかを表す光度関数があるという。光度関数はガウス関数で近似され、そのピークの明るさがどの銀河の球状星団でもほぼ一定になることが分かっているそうな。
こうした様々な方法で点間距離の概算はできるのだろうが、誤差も大きいはず。夜の社交場を「はしご」しながら店間距離を求めようとしても、千鳥足というゆらぎによって、その誤差は計り知れない。ちなみに、アル中ハイマー効果とは、ドップラー効果とは逆に、酔っ払って赤くなると下品に近づき、気持ち悪くなって青ざめると周囲の人々が遠ざかっていく。

5. 「無境界仮説」と「記憶のない虚時間」
古典的な運動法則では、粒子は壁を通り抜けることができない。ところが、量子論ではトンネル効果によって壁を通り抜ける可能性を示す。その確率を、ホーキングは、宇宙の経路和を使って波動関数で示した。
ところで、宇宙の経路ってなんだ?とりあえず、宇宙の始点をビッグバンとし、終点はビッグクランチとする。その間には、曲率がプラスだったりマイナスだったりと、様々な形をした宇宙がある。宇宙の経路とは、アインシュタインの重力理論による空間の曲がり具合の違いといったところだろうか。経路の違いによって、空間に存在する物質の分布状態も様々であろう。無数の物質の分布状態を足し算することによって波動関数を求めるわけだが、現実には近似するしかない。近似であるからには、まんべんなく均一といった条件を前提とする。
ホーキング曰く、「宇宙の波動関数の境界条件は、境界がないことである」
そもそも境界条件を与えないで、波動関数が得られるのか?どうせ量子重力理論は完成していないので、量子効果によって特異点が消滅するなんて証明できないのだから、仮説ならなんでもありということか?ビッグバンの最初の特異点は、時空図上では実時間で尖った点となる。それが、数学のトリックを使って、時間を虚数にすると、丸くなるというから訳がわからん!言い換えると、密度も温度も無限大といった「時間の始まり」なんてものは存在しないことになりそうだ。では、ファインマンの経路和を宇宙に当てはめる時、なぜ実時間ではNGで、虚時間ならOKなのか?数学のトリックには、指数関数と三角関数の関係を示す有名なオイラーの公式がある。指数関数では急激に増大するものが、虚数を用いると三角関数の振動に置き換えられ、くるぐると回るループに閉じられるというわけだ。こうした実証論者の思考回路には、ついていけない。ちなみに、アルコール成分をオイラーの公式にあてはめてみると、同じ店に何度も立ち寄る行動パターンは、記憶のない虚時間においてのみ説明がつく。

6. 「絶対」と「相対」
ニュートンは、著書「プリンキピア」で絶対運動と相対運動について言及している。となれば、絶対空間と相対空間を定義しなければなるまい。そして、絶対時間と相対時間も。
ところで、いかなるものにも平等で、数学的に一様に流れる絶対的な真の時間なるものが存在するのだろうか?人間が計測できる時計や、運動によって測れる時間は、相対的な見かけ上の時間でしかない。だが、宇宙には、いかなる変化も受けない絶対時間なるものが存在するのかもしれない。また、いかなる事物にも無関係に、常に不動で同じ形のまま存在し続ける絶対空間なるものが存在するのかもしれない。宇宙は膨張していると言われるが、宇宙の外にそうした開空間なるものが存在するのだろうか?相対空間は、可動であって物体の状態によって決定されるに過ぎない。もし、絶対空間や絶対時間なるものが存在するならば、絶対運動というものも定義できるはず。絶対運動とは、絶対空間の中の絶対的な位置から絶対的な位置へ物体が移動することである。となれば、絶対的な真の静止状態というものも存在するだろう。だが、人間は、永遠に運動しているように観測することができても、真の静止状態を観測することはできない。人間が生きることを認識するとは、自らの運動を意識し続けられるということであろうか。人間が定義するという行為そのものが、相対的認識に過ぎない。もし、人間精神が、絶対的価値観に到達することができれば、神は絶対的な真の静止状態を見せてくれるのかもしれない。では、相対的な認識が絶対的な認識に変化すると、人間はどういう存在になるのだろうか?そうなると、生命体そのものの意味が失われるのかもしれない。

7. 三体問題と自己中心説
二体問題は厳密に解けるのに、三体問題となった途端に、たちまち複雑化する。ニュートンが議論した三体問題にしても、近似的な解法を示したに過ぎない。現在ですら厳密な解法が見つかっていないのだから、それも仕方があるまい。となれば、人間の三角関係が複雑になるのも当然である。円満な家庭は、第三者の力学によって楕円変形する。だが、人間はチャレンジャーだ。三角関係に突入する衝動は抑えられないのだから。そこで、二つの物体の運動の中心と、三つ目の物体の関係を分けて考察してみるのもよかろう。だが、三角関係を複雑化する要因は、運動の中心と仮定する二つの物体の選別が難しいことにある。そして、人間は自己中心説を唱えるしかなくなるのであった。
宇宙論には、古代からの議論にオルバースのパラドックスがある。
「空は無限に明るくはない。ゆえに目に見える宇宙は無限ではない。」
これは、宇宙が無限であれば、恒星も無限に散らばっていることになり、電磁波である光が永遠に直進するからには、夜空も輝きで満たされなければならないという仮説である。なるほど、ホットな女性が発する電磁波は直進性が強く、それだけで男どもはいちころだ。そこには一種の電磁場が形成され、見事なほどに自己中心説が再現される。男性が回りを囲めば、この微力な磁場が強力になってソレノイドを形成する。そして、「君に酔ってんだよ!」という台詞が口の動きに任せて発せられ、大の男どもが一人の女性の前にひれ伏す。逆に、夜の社交場では、煙草をくわえるだけでお姉様方に火をつけられ、「おっと、俺の心に火をつけやがったな!」と条件反射で口走る。なるほど、人間は永遠に自己中心説から逃れられそうにない。

8. 「人生最大の失敗」は「人生最大の発見」となるか?
アインシュタインは、宇宙項の係数である宇宙定数をわずかに正とすることで、万有引力に対する万有斥力なるものを仮定した。これが定常宇宙を説明するために、無理やり用いた方法かどうかは知らん。ただ、宇宙が膨張しているという観測結果が得られると、彼は宇宙項を「人生最大の失敗」と嘆いたと伝えられる。ところが、だ!近年の観測結果は、これが「人生最大の発見」となる可能性を示唆する。かつて宇宙の膨張は減速しているという説が優勢であったが、現在ではその膨張は加速しているというのだ。その原因とは何か?古くから、人類は夜空を眺めながら、光輝くものだけが宇宙を形成していると信じてきた。しかし、今、宇宙の謎を解く鍵となるものは、暗闇に隠れているものとされる。宇宙物理学者たちは、暗黒物質(ダークマター)と暗黒エネルギー(ダークエネルギー)という仮説を登場させる。しかも、暗黒物質と暗黒エネルギーは宇宙の96%を占めるという。これら暗闇に隠れたものが不明といことは、宇宙の96%以上が解明できていないことを意味する。そのうちエーテル充満説も復活するかもしれない。
暗黒物質と暗黒エネルギーは宇宙創生時に創出したとされる。暗黒物質は、星と銀河を引力によって結びつける。銀河と銀河の間が膨張するのに対して、地球や太陽系や銀河系自体は膨張していない。暗黒物質は、どんな物質でも瞬時に通り抜け、しかも相当な質量があるので、銀河の形成や回転速度などにも大きな影響を与えるという。おまけに、光の放出や吸収もしない。もはや、通常の物質の概念を覆す重力子のようなものか?暗黒物質は、宇宙のいたるところに満ち満ちているというが、その存在はいまだ証明されていない。あらゆる銀河が不規則な形で存在するのは、その形成の骨格をなしている何かがあるということになる。物体の形成をなすものが重力だとすれば、まさしく暗黒物質が宇宙の支柱や骨格として存在するということか?その正体とは?ブラックホールか?ニュ-トリノか?あるいは、WIMP、アキシオン、MACHOなどが候補とされる。これまた、量子論の得意とする仮想物質の登場か?
その一方で、宇宙を膨張させるための反発力を登場させなければならない。それが暗黒エネルギーというわけだ。宇宙の創生からしばらくすると、ビッグバンから生じた膨張力に対して、やがて暗黒物質の引力が優勢となり、宇宙の膨張は減速すると考えられてきた。しかし、宇宙が広大になるにつれて、その引力が暗黒エネルギーの斥力に負けて、今度は膨張を加速させると考えられている。では、暗黒エネルギーの正体とは何か?それが、アインシュタインの定義した宇宙定数なのか?ここには真空エネルギーなるものの存在を予感させる。これは悪魔のような存在か?幽霊エネルギーか?その影にダースベイダーの存在を感じる。
ところで、宇宙の運命はいかに?暗黒物質の重力どうしの衝突によって、宇宙は潰れてしまうのか?はたまた、暗黒エネルギーが宇宙を引き裂いてしまうのか?暗黒エネルギーがこのまま優勢であるとすれば、銀河と銀河を引き離し宇宙に悲劇をもたらすであろう。現在では、宇宙は温度が下がった挙句に凍り死ぬという説が有力のようだが。いずれにせよ、暗闇に隠れたものの正体が解明できない限り、宇宙は膨張し続けるのか?膨張が止まるのか?収縮に転ずるのか?の答えが見つかるはずもない。いずれ、古代ギリシャ時代から議論される「物質とは何か?」あるいは「人類とは何か?」という哲学的な問題を、暗闇に隠れたものの解明によって科学が解決してくれる日が来るのかもしれない。

0 コメント:

コメントを投稿